• 投稿日:2024/12/09
  • 更新日:2025/10/01
【真剣勝負の体験談】vs 大男(剣道)

【真剣勝負の体験談】vs 大男(剣道)

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みやもり@子育て

みやもり@子育て

この記事は約8分で読めます
要約
本気で戦った経験があると、いざという時に力を発揮できます。 今回ご紹介するのは、私が本気で戦った時の体験談です。 みなさんも、本気で戦った事はないですか?

はじめに

別記事で、

「本気で戦った経験があると、いざという時に力を発揮できる」

というお話をしました。


今回は自分の経験の中から、本気で戦った事例をあげてみたいと思います。

それによって、皆さんにも真剣勝負を追体験してもらえたら嬉しいです。剣道.png

前提

私は剣道家でした。

5歳の頃から町の道場に通い、それなりに真面目に練習していました。


練習の中で一番楽しいのは、練習の最後に行われる練習試合です。

仲間と1対1の試合をして、勝てば嬉しいし負ければ悔しい。

真剣勝負を健全に楽しんでいたのだと思います。


大会には道場単位で出場します。

仲間たちと5人のチームを作り、団体戦を戦います。

(個人戦もありますが、珍しいです)

地域の大会では上位進出が当たり前で、優勝することも珍しくありません。

県レベルの大会になると優勝は難しいですが、1時間以上かけて遠征し、見知らぬ競合と戦うのは楽しかったです。

多い時には毎週のように大会に出場していました。1.png

反則級の体格差

小学4〜5年生くらいだったと思います。

ある大会で、小学生であることを疑いたくなるような巨漢の選手と対戦することになりました。

体重は、おそらく100kg近かったのではないでしょうか?

同じカテゴリーに出場しているのだから小学生なのでしょうが、その風貌は小太りの成人男性そのものでした。

(剣道家は面を付けるので、顔の確認が難しいです)


「北斗の拳」や「魁!!男塾」などにある、体格が規格外に大きい敵の登場シーンを見るようでした。

剣道.png対する私はといえば、身長こそ平均以上であるものの、ムダな肉を削ぎ落とした細身の体格です。

鍛錬の成果もあって筋肉も付いていますが、あくまで瞬発力を重視したものであり、絶対的なウエイト差がありました。

チームメイトや保護者たちからも、戦う前から「これはヤバイのでは…」という雰囲気が伝わってきました。

試合開始

剣道では打ち込みが「一本」と判定されない場合、試合はそのまま続行します。

お互いが離れて再び対峙することもありますが、打ったあとに密着し竹刀を交えて対峙することもあります。

これを「つば競り合い」と言います。


つば競り合いでは、駆け引きが存在します。

つば競り合いをしながら自分に有利な体勢を作れば、下がりながらの打ち込みや、相手を弾き飛ばしての打ち込みが出来るのです。


この試合では私が先手を取って打ち込みましたが、有効打突を入れることが出来ませんでした。

そのままつば競り合いに移行です。

そこから通常なら、打ち込みやすい体勢を作るための駆け引きが始まるところです。

10.pngところがこの試合に限っては、そのようになりませんでした。

巨漢の対戦相手が私を押し込むと、それだけで私は弾き飛ばされて場外に出てしまったのです。(私に対して、場外反則×1)

さらに恐ろしかったのは、相手は全身で私を押したわけではないことでした。

腕から先を動かしただけで、私は荷重に耐えきれず吹き飛んだのです。

「勝負にならない…」と感じました。

試合再開

試合が再開されると今度も私から打ち込みましたが、有効打突は入れられません。


再びのつば競り合い。

軽く押し込まれて、再び吹き飛ぶ私。

いなす(相手の押し込みを受け流す)ことすら出来ないほど、圧倒的な力です。

今度は場外まで飛ばされることなく、なんとかラインギリギリでこらえます。

(場外反則が2回続くと、相手に「一本」が与えられ、それが2つになれば負けです)


そこから先は、相手に打ち込まれないように動き回るばかり。

とにかく、つば競り合いに持ち込まれたら不利なのです。

離れて対峙した状態から何とかするしかないのですが、それは相手も承知のうえ。

離れた状態からの打撃だけは回避し、つば競り合いに持ち込もうと企んでいるようです。

あきらめず、考える

戦っているうちに気付いてくることがあります。

対戦の中で、相手のデータが蓄積されてくるのです。


どうやら相手は、まだ剣道の経験が浅いようでした。

離れた状態からプレッシャーをかけるのも下手ですし、技の引き出しも多くありません。

ひたすらつば競り合いに持ち込み、相手を吹き飛ばし有利な状態を作って打ち込む、もしくは場外反則をもらうのが戦術のようです。


となると、相手のやりたい事をやらせないのが正解です。

つば競り合いに持ち込まれたら、圧倒的に不利。

ならば、そうならないように戦う方法はないものか?剣道 (1).png相手は、私が打ち込むのを待っている状態、いわゆる専守防衛のため、守備力が高いです。

その状態で打ち込んでも、よほどの事がなければ「一本」は取れない。

ならば、相手が専守防衛を解いて攻撃してくれば隙が生まれる、というのが私の結論でした。

後の先(ごのせん)

相手が先に動くように誘導し、そこに生じた隙をつく戦法を「後の先」と言います。

相手の経験が浅いという私の読みは当たっていたようで、打ち込みに出ない私に対し相手は困惑していました。

自分から前に出て打ち込むことに、自信がないように見えました。


対峙したまま時間が過ぎても私が「待ち」の姿勢でいると、追い込まれた相手は駆け引きもなしに私の面(頭部)めがけて打ち込んできました。

私は右ななめ前に踏み出して打ち込みを回避し、同時に竹刀を横なぎに相手の胴(胴体部)を払いました。

これで「一本(胴あり)」です。

5.pngいったん試合がストップし、最初と同じく対峙した状態から試合が再開します。

このまま試合時間が切れるか、もう一本取って2本先取できれば私の勝ちです。

怒り

試合再開までのインターバルで、私には一つの感情が込み上げていました。


・腕力が強いだけの相手に、ペースを握られたことへの羞恥

・もっと冷静に戦っていれば、分析はもっと短時間で済んだはずだという反省

・相手の体格に圧倒され、精神的に後手に回ったことへの後悔


…つまり、自分自身に向けた怒りの感情です。

剣道 (2).pngそして私は、

「ここから先は、圧倒的な勝利を収めてやる!」

という、吹っ切れた、前向きな精神状態になりました。

集中

試合が再開され、互いが対峙します。

圧倒的に勝利するなら、つば競り合いに入る前に決着をつけることが大前提です。

そのためには、離れて対峙した状態から打ち込んで、そこで勝負を決めてしまう必要があります。

「一撃必殺」

実力の近しい相手なら不可能ですが、この対戦相手ならやれるはず。


大きく動くことはせず、小刻みな足さばきや剣先の交錯で駆け引きします。

先程までの「戦術としての待ち」とは違い、

「わずかでも隙を見つければ、一撃で決めてやる」

という気持ちで、相手を飲み込みます。


・極限まで集中すると、周囲の音が気にならなくなります

・視界は広いままですが、対戦相手以外は見えなくなります

・思考を放棄したような、それでいて何でも瞬時に判断できるような感覚になります


理由はわからないけれど、「いま打ち込めば相手は反応できない」という瞬間がわかって…

あとは身体が勝手に動いてくれて、相手の頭部へ打ち込みます。

それで「一本(面あり)」です。

9.png

剣道の試合はたいてい3本勝負(先に2本取ったら勝ち)なので、これで私の勝ちです。

対戦相手のチームメイトは愕然とし、私の仲間や保護者たちは大盛り上がりでした。

大人になって振り返ると

幼少期〜少年期には、わりと多くの場面で今回のような集中力を発揮できた覚えがあります。


悔やまれるのは、そうした集中力を発揮したあとで、深く内省しなかった事です。

・なぜ集中できたのか?

・その条件を再現できるか?

その考察が出来ていたら、意図的に「集中状態」を作り出せるようになっていたかもしれません。


でも集中して結果を出せた後というのは、満足感もスゴイのです。

全能感や多幸感に包まれてしまい、なかなか冷静な分析はできません。

周りにメンター的な人物がいれば違ったのかもしれませんが、そう上手くはいきませんね。

自分の子供などがそういう状態にあるのを見つけたら、導いてあげたいと思います。

おわりに

今回の体験談は、これでおしまいです。

大事なポイントは、やはり最初に「あきらめなかった」ことでしょうか。

あそこで諦めていたら、メンタル面で相手を優位に立たせていたでしょう。

自分の実力は発揮できなかっただろうし、相手は調子に乗って実力以上の力を発揮したかもしれません。


ポジティブに考えれば全てが上手くいくとは思いませんが、それが最低限のスタートラインなのかもしれません。

逆に、諦めていたところに たまたま勝利が転がり込んできたとしても、その勝利から得るものは少ないだろうと思います。

関連記事の紹介

以下、本記事の関連記事です。

よろしければご覧ください。


・真剣勝負をしよう
【本気で戦った経験があると、いざという時に力を発揮できる】という話

・体験談①
【真剣勝負の体験談】vs 大男(剣道)

・体験談②
【真剣勝負の体験談】vs そろばんエリート少女(珠算)

・体験談③
【真剣勝負の体験談】vs 強豪チームのNo.1剣士(剣道その2)

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