- 投稿日:2024/12/10
- 更新日:2025/10/01

初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回はM·ビアーほか「ハーバードで教える人材戦略」1990年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:M·ビアー
ビアーは、ハーバード·ビジネススクール名誉教授。国際的にも著名な戦略的変革の専門家であり、経営コンサルティング会社トルー·ポイント·パートナーズ社を創設した。組織変革や人材戦略に関する著書も多く、豊富なコンサルティングと教育の経験をもっている。共着者のB·スペクター、P·R·ローレンス、D·Q·ミルズ、R·E·ウォルトンはハーバード·ピジネススクールの執筆当時の同僚。
本書は世界初の"人材戦略"の教科書と言われている。
当時の米国経済は、GMやフォードなどの自動車会社のおかげで絶好調。
圧倒的な物量作戦による大量生産方式が当たり前だった。😎
参考の本
・『組織は戦略に従う』
アルフレッド・D・チャンドラー・ジュニア 著 2004年発行
・『リーン生産方式が、世界の自動車産業をこう変える。』
ジェームズ·P·ウォマックほか著 1990年発行
しかし、1970年代。
物事はうまくはいかなくなる。😱
モノもカネもなく貧乏だった日本のトヨタなどの自動車会社は、もうひとつの経営資源「ヒト」を活かして、高品質・低価格を武器に米国市場に進出し始めた。
米国の自動車会社はトップダウンですべてを決め、「作業員は黙って言われたことだけやれ」、一方の日本の自動車会社は「現場で徹底的に考えろ」だった。🤔
意外かもしれないが、当時、米国最大のライバルは日本だった。
アメリカはベトナム戦争の挫折をきっかけに、70~80年代に入ると日米関係は政治、経済の両面で良くなかった。
つまり、「ジャパンバッシング」である。
参考:wiki
結局、アメリカから日本への黒字を減らせという要求は1980年代末に和らぐもののバブル崩壊まで続いた。
それほどまでに日本を危険視していた。🧐
アメリカの恐ろしいところは、問題が起こると、対策を迅速に立てる部分である。
「これではマズい」と危機感をもったハーバード・ビジネススクール精鋭の教授陣がつくった教科書が「ハーバードで教える人材戦略」である。
本書は十分に古典だが、経営視点で人と組織の全体像を考えるという内容は現代でも大いに役立つ。
日本の終身雇用や労使協調は決して悪い制度ではない。
タテ社会の日本では特に相性が良かった。
参考の本
・『タテ社会の人間関係』
中根千枝 著 1967年発行
だが、今はどうなのだろう。🤔
「戦いて勝つは易く、勝ちを守るは難し」
訳:戦って一度勝利を収めるのは容易だが、その勝利を維持し続けることは非常に難しい。呉子(ごし)より
セブン&アイ・ホールディングス会長だった鈴木敏文氏は「成功体験こそが次の失敗につながる」と強調している。
歴史や背景は今に至る要因である。
変化や適応無くして、勝利無し。
だからこそ、歴史や古典は知るべきである。
前置きが長くて申し訳ない。
では、話を進めよう。
人材戦略は「全体像」をつかめ
人材戦略の4つの領域
人材戦略は次の4領域に分けて、包括的に考えるべきとしている。
領域❶ 従業員がもたらす影響
会社としていかに従業員の声を活かすか
領域❷ ヒューマン・リソース・フロー
必要なときに必要な人材がいないと、企業の仕事は回らない。
人材採用、社内異動・評価・退職のフローを決めて、しっかり回す。
領域❸ 報償システム
やりがい、達成感、成長、責任感といった内的報償により力を発揮する。
「カネをやるから黙って働け」では社員は打算的になり、力を発揮しない。
もちろん、給与やボーナスなどの外的報償も大事。
領域❹ 職務システム
組織の目標を実現できるように個人の仕事内容や責任範囲を決める。
人事異動の根回し。
新卒・中途採用面接。
給与調整といったさまざまな日常業務。
その場しのぎで対応してはいけないとしている。
この4つが首尾一貫して連携し、お互いに相乗効果を発揮する。
例 全社が「チームワーク重視」の方針の場合
領域❶:チームワーク重視の人材に責任を与え、彼らの声を経営に反映する
領域❷:仲間を大切にする人材を採用して育成する流れを設計
領域❸:チームの成果に報いる仕組み
領域❹:社内で協業しあう仕事内容と責任分担を決める
⇒ 人材戦略は4領域で考えよ。
⇒ これが「人材戦略の決定」
ここまでが最初の一歩。
その成果を検証した上で、施策を常に改善し続けることが必要になる。
強い企業文化の構築は起業時に
「強い企業文化は終身雇用システムの中で生まれやすい。」
「従業員は企業に対し一体感をもちやすいし、企業文化になじんでいきたいと考えるからである。」としている。
⇒ 従業員の行動指針となる。
例 松下電器(現パナソニック)の創業者・松下幸之助
「企業は社会のためのもの。従業員は顧客に有益な商品を提供する責任がある。利益は目的ではない。利益は、この使命を実現する手段だ」と考えた。
それを「企業は社会の公器」という言葉で表した。
参考
https://holdings.panasonic/jp/corporate/about/philosophy/1.html
この理念実現のために終身雇用制にし、個人業績ではなく年功重視の給与体系にして人材育成に注力、社員を大切にする企業文化をつくり上げた。
⇒ 創業者の理念を企業文化に組み込むベストタイミングである。
これも歴史や背景が今に至る要因である。
本書でわかる「ジョブ型雇用」が失敗する理由
現代の日本企業ではジョブ型雇用への移行が大きな話題となっている。
補足:ジョブ型雇用
職務内容と処遇を明確に定義して、その職務内容に合った人材を雇って処遇する雇用形態。
日本の多くの企業は、年功序列・終身雇用・新卒一括採用などが前提のメンバーシップ雇用である。
お手軽にジョブ型雇用だけ導入して他を変えないと、人材戦略は間違いなく破綻する。
例
高給で採用した若手の高度IT人材に、新卒一括採用の研修を受けさせる。
年功序列で少額ずつ昇給させたりするような会社では、せっかく採用した人材は見切りをつけて早々に辞める。
ジョブ型雇用を導入するのなら、人材戦略全体も見直さなければならない。
⇒ 人材戦略では「首尾一貫性」が何より大事である。
参考 「安心社会」から「信頼社会」へのシフトに関する本
・「日本の『安心』はなぜ、消えたのか」
山岸俊男 著 2019年発行
まとめ
⇒ これぞ、組織の未来を左右する人材戦略の全貌を学べる1冊である。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆