- 投稿日:2025/04/12
- 更新日:2025/10/01

初めまして!シロマサルです。
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今回は新原浩朗 著『日本の優秀企業研究』2006年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:新原浩朗
経済産業省紙業生活文化用品課長。1984年東京大学経済学部卒業、通商産業省入省。同省にて産業政策関係の多くの法案作成などに携わる。米ミシガン大学大学院経済学博士課程留学。経済産業省情報経済課長を経て現職。早稲田大学客員教授を兼務。
✅ 日本の優秀企業が持つ6つの共通点
✅ 企業が成長し続けるための重要な考え方
✅ 成功している企業は正直な性格をしている。
日本企業の本当の良さとは何だろう?
本書はそのテーマを研究した一冊。
まさに、日本版『ビジョナリー・カンパニー』である。
2003年のハードカバー版から2006年から文庫本になっているので多少は求めやすくなった。
実は2025年4月に再発行されるほどの名著である。
対象企業としてはマブチモーター、キヤノン、信越化学、ホンダ、花王、ヤマト運輸等…。
高配当株でお世話になる企業も多い。
2024年9月時点で、業歴100年以上を有する老舗企業は4万5284社にのぼる。(帝国データバンク:全国「老舗企業」分析調査(2024年))
この本で六つの共通点を紹介する狙いは、優秀企業を研究して引き出された「寓話」それ自体が米国式であれ日本式であれ「カタカナ」の難しい経営理論よりはるかに示唆に富むと考えるからである。
新原浩朗 著『日本の優秀企業研究』
本書では、日本の優秀企業に共通する6つの条件を挙げている。
6つの共通点には、いわゆる「アメリカ式」の「形」は含まれない。
日本式の組織に関する書籍はこちら。
中根千枝 著 『タテ社会の人間関係』
山岸俊男 著 「日本の『安心』はなぜ、消えたのか」
『日本の優秀企業研究』
1. 分からないことは分ける
その意味は、経営者が自分で分かっていない事業を自分の責任範囲の事業として手がけてはいけない。
そういうときは他に分けなければならないというものである。
新原浩朗 著『日本の優秀企業研究』
「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということである。
分からない事業は絶対にやらない。
自社が取り組むべき事業が明確で、コンセプトから外れていれば、「それはウチの仕事ではない」と説明ができる。
⇒ 事業の焦点を明確にし、得意分野に集中する。
成功する企業は、自社が理解できる事業に特化する。
マブチモーターは世界シェア55%、売上高経常利益率20〜30%という超優秀企業である。
「小型モーター」のみに絞り込み、業界で圧倒的なシェアを獲得している。
(より細かく言うと、民生用・直流・有鉄心・ブラシ付き200ワット以下の小型マグネットモーター)
徹底的に絞り込むことで業界随一の競争力をつけた。
「基本理念を首尾一貫して浸透させる」点は本家『ビジョナリー・カンパニー』にも共通する。
また、デビッド・J・ティース著『ダイナミック・ケイパビリティ戦略』の記事中で「富士フイルム」を例に挙げている。
化粧品や高機能材料事業など、写真フィルムの技術(コア技術)を他分野に展開したことで成長を遂げた。
これこそ、「分からないことには手を出さない。」である。
2. 自分の頭で考え抜く
「自分の頭で考えて考えて考え抜いていること」である。
言い換えれば、「トップが論理的であること」が優秀企業の条件である。
新原浩朗 著『日本の優秀企業研究』
持続的に優秀な企業のトップは例外なく論理的(ロジカル)である。
一見常識破れな意思決定も、論理だてて説明ができるという。
任天堂の元社長:岩田 聡(いわた さとる)さんは良い例になるだろう。
出典:Wikipedia
『MOTHER2』の開発が4年経っても完成しない中、岩田氏は「今あるものを活かして直すと2年、ゼロから作り直せば半年」と論理的に分析。
選択肢を提示した上で自ら再構築を申し出て、実際に1年で完成させるほどの技術屋である。
銀行からやってきた役員ではなく、現場や技術に関して地に足の着いた人物が任天堂社長就任した。
任天堂社長就任後、従来のワンマン経営から取締役会による合議制へ移行。組織全体の意思決定の質を高めるための体制変化を実行したのも…。
・自身の社内基盤の弱さを冷静に分析
・合議制という「合理的な意思決定モデル」に切り替えたかった
・個人プレーではなく「仕組み」で会社を動かす判断
「問題発見 → 論理的な分析 → 最短かつ最適な解決手段を自ら選び、行動に移す」という思考プロセスがベースにある。
⇒ 既成概念にとらわれず、ロジカルに戦略を立てる。
同業者を見たり、本を読んだりするだけでは、物まねになってしまう。
自身の経験や成功事例にとらわれてしまうと、良いところだけ取ろうとして継ぎはぎになってしまう。
実際のテスト&エラーが行われない作業は破綻する。
顧客に対して、どうなのかを徹底している点(現場重視)が肝になる。
本:「顧客ロイヤルティのマネジメント」が参考になるだろう。
3. 客観的に眺める
改革のため、自社を「客観的に眺め不合理な点を見つけられること」である。
新原浩朗 著『日本の優秀企業研究』
本書内の研究では、改革をリードする経営者に必要な要素は2つあった。
❶既存の考え方やしがらみにとらわれないで行動できる。
❷企業の事業についての現場感覚があること。
外部から経営者に求められる2つの要素は『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の原則』における「第5水準のリーダーシップ」と言えるだろう。
本流から外れた経験を持つリーダーが企業の改革を成功させることが多い。
⇒ 外部視点を持ち、不合理な点を修正する。
キヤノンの御手洗冨士夫会長は、就任前は本社経験がほとんどなく海外子会社育ちだったが、先任社長の急逝で社長に就任してキヤノンを変革し、後に経団連会長まで務めた。
参考:Wikipedia 御手洗冨士夫
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%A1%E6%89%8B%E6%B4%97%E5%86%A8%E5%A3%AB%E5%A4%AB
ちなみに、本書では幹部候補生には、本社の本流部門だけを経験させずに、30代のうちに意図的に結果責任を伴う形で厳しい子会社に出向させ、修羅場を体験させることを提唱している。
これが結果的には経営人材を育てることにつながる。
もしも、あなたがそのような状況だったら、そう考えよう。
4. 危機をチャンスに変える
「危機を持って企業の千載一遇のチャンスに転化すること」である。
言い換えれば、追い詰められた時こそ、冷静さを失わず考え抜いて、危機が作り出した「隙間」を確実にモノにして、長期的発展に向けた新しい方向性を見出すことである。
新原浩朗 著『日本の優秀企業研究』
「隙間」とは、危機を乗り越えるためのアイデアといっても差し支えない。
このままでは会社は終わってしまうという危機感が、ビジネスや対策を呼び起こす。
追い詰められたときこそ、新しい方向性を見いだし、新しいビジネスモデルを構築するチャンスと言える。
命の危機があると人間はより真剣になれる。悲しいが、真理である。
⇒ 逆境を利用して新たなビジネスを創造する。
ジョン・P・コッター 著『幸之助論』
創業者・松下幸之助の伝記。
著者はリーダーシップ論の世界的な権威・コッター教授が「経営者個人を、リーダーシップの観点で分析した伝記を書きたい」と考え、7年間かけて書き上げた作品である。
幼少期から続く逆境の連続は「危機をチャンスに変える」代表例である。
5. 身の丈に合った成長をする
「身の丈に合った成長を図り事業リスクを直視する」経営方針である。
資本市場を冒涜(ぼうとく)しているわけでは決してないが、良好な成果を示している企業は、資本市場に邪魔されない「自律性」を有している場合が多い。
これは、キャッシュフローの管理の問題である。
新原浩朗 著『日本の優秀企業研究』
日本の優秀企業は、自らが生み出したお金(キャッシュフロー)の範囲内で、身の丈に合った研究開発や長期投資を行っている。
自社が持つお金の範囲内で投資することで、株主や銀行などの外部に気兼ねなく長期的な思い切った投資が可能になり、辛抱強く投資を持続できる。
この点が成功に結び付いている。と本書は語る。
⇒ 自社のキャッシュフロー内で投資を進める。
ゲーム会社で有名な「任天堂」の財務体質が代表的だ。
とにかく、「キャッシュリッチで無借金」という点にある。
もちろん業種にもよるが、自己資本比率が40%以上の企業は健全といわれる。
しかし、任天堂の自己資本率はおよそ80%。
参考外部サイト:IRバンク 任天堂 財務状況
つまり…こんな感じ。
ほぼ、純資産である。
純資産は返す必要のないお金。
将来、会社からお金が減っていくものではない。
そのため破綻のリスクは小さいと言える。
任天堂の業績はヒット商品が出て拡大しては縮小の繰り返し。
ゲーム事業の宿命で、ヒットがあるかないかで業績が大きく変動してしまう。
それでもビジネスを継続できるのは、強靭な財務体質があるからに他ならない。
身の丈のお金で研究開発投資をしているのだ。
6. 社会貢献を経営理念に
優秀企業に共通する第六番目の条件は、お金以外の「世のため人のためという自発性の企業文化を企業に埋め込んでいること」である。
新原浩朗 著『日本の優秀企業研究』
「社会のために仕事をする」のが企業を統治する理念であり、企業を長期的に発展させる。
利益は人間にとっての空気や水と同じで、利益がないと企業は継続できないのは事実。
しかし、空気や水のために生きてはいない。
お金を稼ぐことは、企業理念にはなり得ないのだ。
不祥事は、利益追求を「手段」でなく「目的」にしてしまうから間違いが生まれるのだ。
⇒ 長期的な視点で企業価値を高める。
利益は企業の目的ではなく、社会の役に立つための手段である。
社会貢献を重視する企業こそ、長期的に成功する。
石角完爾 著「ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集」
金持ちになりたい人が絶対に聞くべきタルムードの小話「正直な仕立て屋」である。
【お金の勉強 初級編】:(アニメ動画)第87回
https://www.youtube.com/watch?v=s_LFUVcfMlk
商売で最も大事なことは「正直な生き方を貫くことである。」🧐
長生きしている企業ほど、社会貢献かつ正直な活動文化が根付いている。
⇒ 学やスキルよりも、正直な生き方にこそ、生産性の向上がある。
まとめ
✅ 日本の優秀企業が持つ6つの共通点
✅ 企業が成長し続けるための重要な考え方
✅ 成功している企業は正直な性格をしている。
人は金銭や昇進の誘因だけでは爆発的なエネルギーを発揮することはできない。
担当する業務の位置づけやプロジェクトの意義を理解して、夢や感動のある仕事をすることがエネルギーの源である。
新原浩朗 著『日本の優秀企業研究』
⇒ 自分の頭で考え抜き、真面目に愚直に情熱をもって得意技を極めろ。
社員が自ら動けるように仕組みを整え、自律的な社員を支援する仕組みが長生きの秘訣である。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆