- 投稿日:2025/12/11
初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回は山本常朝/田代陣基著『葉隠聞書』1716年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
口述者:山本常朝
出典:Wikipedia
江戸時代の武士、佐賀藩士。武士道の書物『葉隠』の口述者。
なお、国佐賀鍋島藩士・山本常朝が武士としての心得を口述し、それを同藩士田代陣基が筆録しまとめた。全11巻。葉可久礼とも。『葉隠聞書』ともいう。
✅ 死を意識することで、かえって生が際立つ。
✅ 武士道は「覚悟」と「行動」にある。
✅ 現代にも応用できる「死身の思想」。
「生きるとは、呼吸することではない。行動することだ。」
ジャン=ジャック・ルソー
「覚悟を持って生きろ」と言われても、どうすればよいのか?
江戸の武士が残した言葉は、現代にも通じる生き方のヒントになる。
今回は『葉隠』を通じて、揺るぎない心をつくる方法を解説する。
佐賀藩の伝統や武士の生き方を伝えるためにまとめられたが、
その内容は当時、過激と受けとられたため、藩内で禁書とされた時期もあるほど。
当時のビジネス書と考えても良い。
人生・仕事・人間関係・組織論と日常から修行まで幅広い意識改革が書かれている。
佐賀県立図書館データベースにて、全文を読むこともできる。
https://www.sagalibdb.jp/hagakure/list02
佐賀県公式HP:『葉隠』について
https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00360006/3_60006_86587_up_3ljj2i1a.pdf
少々読みずらいのが難点だけど…。
『葉隠聞書』(はがくれききがき)
「葉隠」という言葉自体に「葉の陰に隠れる」「葉蔭となって見えなくなる」という意味がある。
『葉隠聞書』(はがくれききがき)とも呼ばれる。
われわれは生死をともにする主君を持たないし、責任を取るときに切腹するわけでもない。だが、それでも『葉隠』の説く生きる道と、今日のわれわれの間には根本的に共通するものが存在するのである。
前田信弘著『葉隠 処世の道』(2019年発行)
1. 『葉隠』とは何か
死を思うことは、誰でも1度は考える。
武士道と云ふことは、即ち死ぬことと見付けたり。
山本常朝/田代陣基著『葉隠聞書』
⇒ 泰平の世で武士の存在意義を問うた書。
『葉隠』は江戸中期、戦のない時代に武士がどう生きるべきかを説いた書物である。
佐賀藩士が藩主に仕える者としての心構えや歴代藩主・藩士の言行録、逸話、藩の習慣などをまとめており、一般向けの武士道論ではなく、佐賀藩の伝統的精神に基づく教訓を伝えている。
彼らは日常業務に従事しながら、己の存在意義を問い続けていた。
そんな中で有名なのは、「武士道とは死ぬことと見つけたり」という言葉である。
表面的には「死を賛美する」本と誤解されがちだが、真意は「死を覚悟することで恐れから解放され、行動の自由を得る」という哲学にある。
武士は、恥をかくことを最大の屈辱と考えた。
もし死を覚悟できていれば、失敗や非難を恐れず、正しい行動を取れる。
つまり、この教えの核心は「死を意識することで、迷いを断ち切り、最善を尽くす」ことであった。

山本七平 著『日本資本主義の精神』
⇒ 働くこと=修行という思想が根底にある。
⇒ 経営者の質素さは江戸時代からの文化。
「自分に与えられた仕事を粛々とこなしていくことこそが、人が歩むべき道である」という倫理観。
「必要以上の利益を欲せず、浪費をせず、倹約に励む」という生活態度。
この2つが相まって、日本人的な資本主義的倫理観を形成したと著者(山本)は分析している。
日本の企業がオイル·ショックにも、不況にも、意外なほど強く、エネルギー節約の達成にも、驚くべき速度を示した理由は、ここにあるであろう。共同体は、いずれの共同体であれ、「共同体が消減しようがしまいが、自分には関係ない。」という態度を許容しないからである。
山本七平 著『日本資本主義の精神』
2. 「死の覚悟」が現代に必要なのか?
私たちが簡単に川や境界を渡れるのは、橋があるからだ。
その時代々々にて、よき様にするが肝要なり。昔風を慕ひ候人に誤あるは此処なり。
(その時代その時代に合わせて、よりよく生きることが大切なのだ。
むかしの気風を慕う人が誤っているのは、ここである。)
聞書第二・十八
⇒ 死の覚悟は、生をより濃くする。
現代社会は、武士の時代とは異なる。
しかし、人々の悩みの本質は変わらない。
「会社での評価が気になる」
「キャリア選択に迷う」
「SNSでの批判が怖い」
こうした不安は、死の恐怖と同じく、人を萎縮させる。
『葉隠』が示す「死の覚悟」は、こうした迷いを断ち切る力になる。
死を意識するとは、「今日が人生最後の日なら、どう行動するか」を問うことである。
やりたいことを後回しにして、意味のない会議や不毛な愚痴に時間を浪費していないか。
死を意識すれば、優先順位が明確になる。本当に大事な人間関係、本当にやりたい仕事、そこに集中できるようになるのだ。
スティーブ・ジョブズも同様の考えを持っていた。
「今日が人生最後の日だとしたら、今やろうとしていることをやるか?」と毎朝自問していたという。
『葉隠』と同じ思想が、現代のイノベーターにも息づいている。
勇気のいる覚悟だが、勇気を持つことに資格や才能はいらない。
「今日が人生で一番若い日」と本質は変わらない。

編者:ジョージ・ビーム 訳者:鷹取孝「スティーブ・ジョブズの生声」
君たちの時間は限られている。
だから、他人の人生を生きて時間を無駄にしてはいけない。
ドグマにとらわれないでほしい。
それは、他人が考えた結果に従って生きることと同じなんだ。
他人の意見という雑音で、君たち自身の内なる声がかき消されてしまってはいけない。
そして何より大切なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことだ。
自分の心と直感は、自分が本当は何になりたいのか、どういうわけかすでに知っている。
他のことはすべて二の次で構わない。
スタンフォード大学卒業式のスピーチ 2005年6月12日
外部サイト 日本経済新聞 スピーチ全文の全訳
https://www.nikkei.com/article/DGXZZO35455660Y1A001C1000000/
ドグマとは、 独自の教理・教義のこと
3. 「死身」の境地を持つ
日が昇ることを、私たちは止めることができない。
大難大変(だいなんたいへん)に逢うても毫(すこし)も動転せぬといふは、まだしきことなり。大変大難に逢うては歓喜雀躍(かんきじゃくやく)して勇み進むべきなり。一難関を超えたる所なり。
(大困難や大変事のとき、平静でいられるのは、まだ未熟だ。大変な事態に遭遇したら、喜び勇んで立ち向かって行こう。これが一段突き抜けた境地とである。)
山本常朝/田代陣基著『葉隠聞書』
⇒ 変えられることに、全力を尽くせ。
『葉隠』は「毎朝毎夕、死に改めて死に、常住死身に成りて居る時、武道に自由を得る」と説く。
日々の小さな所作にも厳しさを求めている。
酒席での振る舞い、手紙の書き方、身だしなみ――こうした細部をおろそかにしないことを武士の美徳とした。
『葉隠』は、こうした積み重ねが人の信頼を生むと説いている。
武士にとっての作法は、現代人にとってのビジネスマナーやSNSでの言葉遣いに相当する。
ストレス社会では「自分の影響力をコントロールできる領域」が限られているからである。
「人間は聡明で善良であればあるほど、他人のよさを認める。だが、愚かで意地悪であればあるほど、他人の欠点をさがす」
レフ・トルストイ
上司の機嫌や景気動向は自分にはどうしようもない。
しかし、挨拶を丁寧にする、メールを迅速に返す、言葉遣いを美しく保つ
こうした小さな行動は、自分次第で変えられる。
些細な習慣こそが、周囲との関係を決定づける。
これは精神的な稽古であり、死を覚悟する習慣を持てば、恐怖や逡巡から解放され、職務や使命を果たす力が湧いてくるということだ。

岸見一郎・古賀史健 著『嫌われる勇気』
自分を変えることができるのは自分しかいない。
客観的な世界に住んでいるのではなく、自らが意味づけをほどこした主観的な世界に住んでいます。あなたが見ている世界は、わたしが見ている世界とは違うし、およそ誰とも共有しえない世界でしょう。
岸見一郎・古賀史健 著『嫌われる勇気』
4. 現代への応用
日々の生活にこそ、面白さがあるものだ。
何事も成らぬといふ事なし。一念起ると、天地をも思ひほがすものなり。
成らぬといふ事なし。人がかひなき故、思ひ立ち得ぬなり。
力をも入れずして、天地を動かすといふも、只一心の事なり。
(何事も成らぬということはない。一念が起こると、天地さえも、その思いで突き抜けるものだ。成らぬということはない。人がふがいないから、思い立つことができないのだ。「力を入れずに天地を動かす」。これもただ一つの心のことである。)
聞書第一・一四四
⇒ 大業は、理屈ではなく没頭で成る。
⇒ 「覚悟」を持つことはリスク管理の最高形態である。
山本常朝は「士道においては死狂ひ也」と語る。
これは、理屈や計算を超えた全力の没頭を意味する。
現代に置き換えれば、大きな挑戦を成し遂げるためには、失敗を恐れず、徹底的に打ち込む覚悟が必要だということだ。
「物事をスタートさせるには、話すのをやめて、とにかく始めること」
ウォルト・ディズニー
また、人間関係でも同じ。
親や友人、恋人に対して、「もし明日が最後なら、今日どう接するか」と考えれば、感謝や愛情を素直に伝えられる。
これは覚悟を利用した最強の行動力強化術である。
恐怖に支配されず、「やると決めたらやり切る」覚悟が、成功と失敗を分ける。
結局、『葉隠』が教えるのは「覚悟の力」だ。
覚悟があれば、迷いや恐れは消え、行動が生まれる。
これこそ、武士道の本質であり、現代人にとっても最高の処世術である。

田口八重著『おこしやす 京都の老舗旅館「柊家」で仲居六十年』
昭和から平成を生き抜いた名仲居・田口八重の生き様から、今に通じる“おもてなしの核心”を学べる書籍。
接客業務からくる人間関係への考えがよくわかる。
誰もが、苦手とする人と良い関係が作れるというのは、大きな自信になるものです。
なにかの難関にぶつかった時、私にはあの人と親しくなれた実績があるのだから、こんなことでへこたれるわけにはいかないと、がんばれる力が湧いてくるのです。
田口八重著『おこしやす 京都の老舗旅館「柊家」で仲居六十年』
まとめ
✅ 死を意識することで、かえって生が際立つ。
✅ 武士道は「覚悟」と「行動」にある。
✅ 現代にも応用できる「死身の思想」。
よき事も過ぐるは悪し。談義・説法・教訓なども、言ひ過ぐせば、害になり候となり。
(よいことも度がすぎるのはよくない。
談義、説教、教訓なども言いすぎると害になるものである。)
聞書第二・一一四
⇒ 死を意識することで、かえって生が冴え渡る。
失礼なことをいうなら、「死」いつか必ずやってくる。
だが、「生」は今しかない。
毎日を漫然と過ごすか、それとも今日を最後の日と思って全力で生きるか
その選択が、人生を決定づける。
しかし、漫然と過ごすことも、時代の大切な恩恵である。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆

