- 投稿日:2026/01/13
初めまして!シロマサルです。
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今回は沢辺有司著『いちばんやさしい地経学の本』2023年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:沢辺有司(さわべ・ゆうじ)
フリーライター。横浜国立大学教育学部総合芸術学科卒業。在学中、アート・映画への哲学・思想的なアプローチを学ぶ。編集プロダクション勤務を経て渡仏。パリで思索に耽る一方、アート、旅、歴史、語学を中心に書籍、雑誌の執筆・編集に携わる。現在、東京都在住。
✅ 戦争は経済で行われる時代に突入した。
✅ 日本は「守る」より「備える」国家戦略が必要。
✅ 経済安全保障こそ、令和の国防である。
ロシア軍の元参謀総長ヴァレリー・ゲラシモフは、21世紀においては「平和と戦争の間が曖昧な状態になる」と述べています。たとえば、機密情報を狙ったサイバー攻撃、M&Aによる先端技術獲得、グローバル人材の争奪戦、SNSやメディアによる世論操作、外国資本の土地買収、金融・通貨の勢力圏争い、インフラ投資と債務のわな、難民テロなどです。
沢辺有司著『いちばんやさしい地経学の本』
「戦争は遠い国の話」
そう思っていないだろうか?
今や、戦場はスマホの中、ニュースの裏、そして私たちの日常経済の中にある。
中国やロシアは、武力を使わずに“経済”で相手国を支配する。
この見えない戦いを読み解く鍵が「地経学(ジオエコノミクス)」だ。
今回は、沢辺有司氏の『いちばんやさしい地経学の本』を通じて、現代の“経済で戦う世界”を3つの視点から整理して解説する。
そもそも地経学という単語はあまり聞いたことがないだろう。
地政学は国際政治を考察するにあたって、その地理的条件を重視する学問。
地経学は地理学と経済学、そして政治学を組み合わせた学問である。
地政学が地理的な位置関係から政治・軍事を分析するのに対し、地経学はさらに経済的な側面を重視している。
経済学と心理学を組み合わせた分野が「行動経済学」と呼ばれるように、架空の世界で行われる経済学をより現実に落とし込んだ学問と言える。
『いちばんやさしい地経学の本』
富、名声、力。今もこの世のすべてを手に入れようとしている。
昨今、耳にすることが多くなった「地政学(Geopolitics:ジオポリティクス)」とは、かんたんにいえば、「軍事戦略の理論」です。地図を戦略的に見て、どうやって空間を支配するのかを考えるものです。 国家というのは、戦争があってもなくても、つねに周りの国の様子を見極めながら、あらゆる戦略をねって自分の国を守っています。そのとき、歴史的な視点も必要ですが、地理的な視点も必要です。
沢辺有司著『いちばんやさしい地経学の本』
地経学とは何か──戦争の手段が「武器」から「通貨」へ変わった
マネーゲームには中毒性がある。直接的な暴力じゃないぶん…。
もう少し具体的にいうと、「地政学的課題を経済という手段を使って解決する」ということになります。
沢辺有司著『いちばんやさしい地経学の本』
⇒ 経済は新しい戦場であり、国家戦略の最前線だ。
かつての戦争は、銃や爆弾を手に兵士が戦場で戦うものであった。
しかし、21世紀の戦争はもっと静かで、もっと巧妙だ。
いまの戦場は、為替市場、サプライチェーン、SNSのタイムラインの中にある。
「ロシアのサイバー攻撃」
「中国のM&Aによる企業買収」
「ドル体制への挑戦」
これらはすべて「経済的手段による戦争」、すなわち地経学(ジオエコノミクス)の実践である。
地経学とは、「地政学的課題を経済で解決する学問」であり、軍事力を使わずに国家の優位を築くための“知的な武器”だ。
地政学が「地形と軍事」を基盤とするなら、地経学は「市場と資本」を支配する戦略である。
経済力のない国は、戦う前から敗れている。
軍艦を動かす燃料も、兵器を作る資材も、すべて経済の裏付けがなければ成り立たない。
最先端技術とは、AIやロボティクス、量子技術などで、今後の世界を大きく変える可能性を秘めたものです。これらの技術で先んじた国は、ほかの国よりも経済的に優位になるだけではなく、軍事的にも優位に立てます。最先端技術の多くは、大量破壊兵器や高度な通常兵器などに転用できる軍民両用技術(デュアルユース・テクノロジー)だからです。
沢辺有司著『いちばんやさしい地経学の本』
つまり、経済とは「武器を支える武器」なのだ。
今日、国家は貿易・金融・通貨・技術を駆使して、敵国の“急所”を突く。
関税の引き上げ、通貨切り下げ、SWIFT排除、技術制限、そして資源の囲い込み。
これらはもはや経済政策ではなく、「非軍事的戦争」と呼ぶべきものである。
SWIFT(スウィフト):国際的な金融通信ネットワークの名称
銀行や金融機関が安全かつ標準化されたメッセージを世界中で送受信するための仕組みであり、グローバル金融の中核インフラであり、国際送金や決済の安全・効率化に不可欠なシステムである。
もちろん、日本の金融機関はSWIFTに加盟し国際送金や決済を行っている。
かつての戦場が銃弾の飛び交う場所だったように、現代の戦場は、為替チャートの中で日々動いている。
戦争の主役は兵士ではなく、資本の流れを読む者たちなのだ。
ハイブリッド戦争と超限戦──平時に進行する“静かな侵略”
私たちが画面に夢中になっている間にケーブルは網の目のように広がった。
敵国と直接海底ケーブルを結ぶことは大きなリスクになります。また、海底ケーブルは意図的に切断することもできます。有事の際には真っ先に狙われ、国際通信を遮断される恐れがあります。こうした攻撃に備えるため、警備体制を整えなければいけません。
沢辺有司著『いちばんやさしい地経学の本』
⇒ 戦争は、SNSと市場の中で静かに進行している。
現代の戦争には、もはや「宣戦布告」は存在しない。
その代わりに、ニュースの見出しや株価の乱高下の裏で、目に見えない戦闘が進行している。
ロシアは2014年、ウクライナのクリミア併合で「ハイブリッド戦争」を展開した。
軍事侵攻の前に、サイバー攻撃と情報操作によって敵国内部を混乱させ、
戦わずして制圧を成し遂げた。
一方、中国が掲げる「超限戦」はさらに巧妙だ。
軍事・経済・文化・報道・金融・サイバー、あらゆる領域を総動員して他国を支配する戦略である。
戦争の“限界”を取り払う──それが「超限戦」の意味だ。
この戦略の恐ろしさは、戦場が「私たちの日常」にまで拡張している点にある。
私たちが使うスマートフォンやSNS、会議アプリの中にも、“バックドア”と呼ばれる監視機能が仕掛けられている可能性がある。
気づかぬうちに、個人情報や産業データが国外に流出しているのだ。
たとえば、通信アプリ「LINE」のデータが海外サーバーで保管されていた問題は記憶に新しい。
ビジネス用アプリ「LINEワークス」はネイバーの子会社が韓国人のエンジニアを使って運営しています。LINEワークスはすでに43万社以上が利用しているといわれますが、そこでのやりとりはすべて韓国に筒抜けになっている恐れがあります。
沢辺有司著『いちばんやさしい地経学の本』
私たちは便利さの代償として、国家規模の情報網に巻き込まれている。
もはや戦争はミサイルの打ち合いではない。
「情報」「心理」「経済」という三つの戦線が同時に進行する、静かな侵略の時代なのだ。
国際通信の99%は海底ケーブルを使って行われています。衛星通信は1%にすぎません。インターネットやSNS、国際電話、SWIFT、航空券の予約システムなど、これらのネットワークは海底ケーブルを介して行われています。
沢辺有司著『いちばんやさしい地経学の本』
この状況において、国家防衛とは「インフラとデータを守ること」を意味する。
つまり、情報セキュリティこそが現代の防衛戦。
ネット上の一つのクリックが、国の命運を左右する時代が来ている。
ん?そんなことを言われてもだって?
NEC(6701)は世界の海底ケーブル市場で約3割のシェアを持つトップサプライヤだし、KDDI(9433)は子会社のKDDIケーブルシップが光海底ケーブルの敷設工事を行い、半世紀以上の実績がある。
住友電気工業(5802)は電力・光海底ケーブルを手掛け、世界的な市場シェアを持っているし、湖北工業(6524)は海底光ケーブル用の光通信部品・デバイスの製造販売を主力の一つとしている。
データセンターと同じように世界の通信網やAIのやりとりが増えると思うなら、海底ケーブルの製造・敷設・保守に関連する企業に投資してみるのも面白いのではないだろうか?
もちろん、個別株はしっかりと検討してから…自己判断で購入しよう。
日本の経済安全保障──“技術立国”から“防衛立国”へ
島国というのは私たちが思っている以上に恩恵がある。
とくに危険なのは、沖縄です。台湾有事となれば、中国は真っ先に沖縄と接続する海底ケーブルを切断するでしょう。外界との通信が遮断された沖縄は孤立し、自衛隊と米軍は思うように台湾防衛に関与できなくなります。
沢辺有司著『いちばんやさしい地経学の本』
⇒ 経済を守ることが、いまや国を守ることと同義である。
日本は長らく「技術立国」を掲げ、世界有数の製造大国として繁栄してきた。
だがその技術は、気づけば他国に流出し、“国の資産”が失われていった。
1980年代以降、多くの日本企業が安価な労働力を求めて中国へ進出した。
その結果、現地に技術が移転し、のちに中国企業が日本の電機メーカーを次々と買収した。
三洋、東芝、NEC──かつての名門が、今では他国の傘下で動いている。
経済協力の名のもとに、日本の中枢技術が吸い上げられてきたのである。
ロシアのウクライナ侵攻、新型コロナウイルスによる世界的な供給網の混乱、米中間の技術覇権争いといった国際安全保障環境の変化も大きい。
結果、日本政府は2022年に「経済安全保障推進法」を制定した。
参考外部サイト:内閣府(経済安全保障推進法の制定経緯・趣旨)
国家や国民生活に欠かせない重要物資の安定供給や、電力や通信などの基幹インフラの安全な運営を維持しつつ、重要技術の育成と特許情報の保護も図る試みである。
法の柱は次の4つ。
❶サプライチェーン強化(半導体・レアアース・医薬品の国産化)
❷重要技術支援(AI、量子科学、宇宙、バイオなど)
❸基幹インフラ保護(通信・電力・交通などの安全審査)
❹特許の非公開化(軍事転用を防ぐ技術の秘匿)
これらはすべて、“経済を守るための防衛政策”だ。
もはや「安いから」「便利だから」といって外国依存を続ける時代ではない。
相互の関係による協力は大切なのは間違いないが、依存度が高すぎるのは問題である。
食料、エネルギー、半導体、通信の供給が止まれば、国家は1年ともたない。
経済安全保障とは、単なる経済政策ではない。
「生き延びるための戦略」であり、“平和を支える盾”である。
国家の安全は、もはや軍事力ではなく、どれだけ「自国でまかなえるか」という経済的自立にかかっている。
日本が再び「技術立国」から「防衛立国」へと進化できるか。
その鍵を握るのが、この地経学という新しい視座なのだ。
中国系資本に日本の土地を開発させるという意味では地政学的なリスクになりますし、エネルギー供給をまかせるという意味では地経学的なリスクになります。
沢辺有司著『いちばんやさしい地経学の本』

マイケル・ヘラー著『Mine! 私たちを支配する「所有」のルール』
「自分が蒔いた種は自分で収穫する」という労働の原則は、一見すると誰もが納得する正義のように見える。
しかし、その境界をどこで引くのかは曖昧だ。
土地を耕したのは自分でも、その土地を誰が所有するかは別問題である。
飛行機はあなたの家の上空を飛んでもよいが、ドローンはいけないのはなぜか?
マイケル・ヘラー著『Mine! 私たちを支配する「所有」のルール』
井堀利宏著『超速経済学の授業』
経済学の実験は「架空の世界」を想定して、経済社会の仕組み(モデル)を利用して思考実験を行っている。
架空の世界では、感情を一切持たないロボットのような人間たちが暮らす世の中をイメージしている。
この世界の住民はコストパフォーマンスが優れている方を常に選ぶ。
架空の世界では感情や心理に左右されない。
結果、架空の世界で説明できない経済学は「行動経済学」に派生した。
簡単に言ってしまえば、経済学とは現実の世界で私たちがより豊かに生きるための方法を考える学問ということになります。
井堀利宏著『超速経済学の授業』
ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』
約1万年前、人類は狩猟採集から農耕へと移行した。
農業革命は「安定した暮らし」をもたらしたとされるが、ハラリはそれを「最大の詐欺」と呼ぶ。
農耕社会では土地の境界や水の利用をめぐって争いが起きやすく、しかし、耕作地から離れられない。
集団が集落から国へと大きくなるに従い、紛争も大規模になった。
人間が森や藪を焼き払ったときにも、それが小麦に有利に働いた。 大小の木々が燃えてなくなり、小麦などの草が日光や水や養分を独占できた。
ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』
「我々は神のような力を手にしたが、神のような知恵を持ってはいない」
ゆえに、危ういのである。
まとめ
✅ 戦争は経済で行われる時代に突入した。
✅ 日本は「守る」より「備える」国家戦略が必要。
✅ 経済安全保障こそ、令和の国防である。
各国の共通する目標は、国益を守ることでしょう。国益を守るためには、他国に依存しないことが理想となります。エネルギーや食料にしても、究極的には自給自足が理想であり、それが最大の防御になります。
沢辺有司著『いちばんやさしい地経学の本』
⇒ 「経済を制する者が、未来を制す」
別に不安や恐怖をあおりたいわけではない。
世界情勢がめまぐるしく変化するなか、途切れなくもたらされるショッキングなニュースに右往左往することなく、まずは足元の安全を確かめたいものである。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆

