• 投稿日:2025/03/01
  • 更新日:2025/10/01
ジョン・ムーア著『スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?』

ジョン・ムーア著『スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?』

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シロマサル@本の要約:ほぼ土曜日週1投稿

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要約
スターバックスは値下げや広告ではなく、顧客体験を最優先することでブランドを確立した。成功要因の「ブランドを作らず、育てる」戦略を解説する。誠実な顧客対応、評判管理、マーケティングの6つのルール、価格戦略など、スターバックスがどのようにして唯一無二のブランドを築いたのかを紐解く。

初めまして!シロマサルです。

知ることで、人生はもっと楽しくなる!

今回はジョン・ムーア著『スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?』(2014年発行)をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。


著者:ジョン・ムーア

スターバックスで8年間、マーケティングプログラムの作成と実行に携わる。その後、大手スーパーマーケットのホールフーズマーケットのマーケティングを経て、現在はコンサルタント会社を主宰。小さい会社の心意気と活動をもって、より大きな成長を遂げてもらうべく企業のサポートを行っている。企業や大学などでの講演多数。人気マーケティングブログ「Brand Autopsy」も運営している。


00000.png✅ ブランドは作るものではなく、評判を管理するもの。

✅ 値下げはブランドにとってマイナスになる。

✅ スターバックスの成功は顧客体験の提供にある。

スターバックスの「ルール」とは、一つひとつがスターバックスの本質を表す言葉で、これまで一度も文書にされたことはない。
口伝の知恵として、スターバックスの内部にとどまっていたのだ。

ジョン・ムーア 著『スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?』


スターバックスが創業した頃、米国のコーヒーはマズかった時期がある。

247.pngハワード·シュルツ著「スターバックス再生物語」

こちらは急成長企業が低迷から成長に回帰するストーリーを学べる一冊。



スタバはこの業界で急成長して、強いブランドを創り上げた。

本書はブランディングと価格戦略の学びの宝庫である。

本書は起業家やビジネスマンを対象として書かれているが、「商品やサービスには大きな可能性が秘められている」という理想を掲げる人、有意義なやり方で、顧客と個人的にふれあいをもちたいと考えている人にも、ぜひ読んでいただきたい。
本書で紹介している「ルール」は、ビジネスやマーケティングの教訓といってもいい。

ジョン・ムーア 著『スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?』


著者(ジョン・ムーア)はスタバで8年間マーケティング・プログラムの作成と実行に携わり、現在は企業へコンサルティングを行っている。


『スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?』

7c7c7721-0253-4017-bd23-17167177d591.pngブランドは「作る」のではなく「育てる」もの

意外に思うかもしれないが、スターバックスはブランドをつくろうとしたことはない。
ただ、美味しいコーヒーに対する理解を得ようと、熱意をもって取り組んできただけだった。

ジョン・ムーア 著『スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?』

0.png⇒ ブランドは意図的に作るものではなく、誠実な活動の積み重ねで生まれる。

⇒ 新規事業で訴求すべきはブランドの前に、新カテゴリー。

⇒ ブランド・マネジメントは「評判管理」である


何もかもがコーヒーを味わうときに体験することを考えてのことであり、決してブランドを意識してのことではなかった。
ところが、ビジネスそのものに忠実に、正面から向き合って取り組み続けたおかげで、スターバックスは強力なブランドという副産物を生むビジネスを築くことになったのである。

ジョン・ムーア 著『スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?』


スターバックスはブランド構築のための特別な施策をしていない。

むしろ、誠実な顧客対応と品質管理を徹底し、結果としてブランドが形成された。

決定的な違いはコーヒー豆にあった。
高品質でコストも高いアラビカ種のみを使用した。

「どこにでもあるコモディティ化したコーヒー」ではない。
(市場で製品やサービスの差別化が失われ、価格競争に陥る状態)

1980〜1990年代の「スペシャリティコーヒー」は、まさに新しいカテゴリーだった。

00.pngスペシャルティコーヒー生産者から消費者へと美味しいコーヒーを届けるために生まれた概念。

参考外部サイト:日本スペシャルティコーヒー協会

「スペシャリティコーヒー」は広く認知され、スタバというブランドが普及した。


広告をしない理由

スタバは広告をほとんど出さない。

店舗のスターバックス体験そのものがマーケティング活動だと考えている。

白いカップで出されるコーヒー、従業員と顧客の交流、店の雰囲気、コーヒーの香り、スタバのひととき。新コーヒーの無料テイスティング。全てが販売促進ではなく、マーケティング活動であった。

ブランドは上手な戦略。下手な戦略。合格点以下の戦略。問題外の戦略の総和である。

スコット・ベドベリ著『なぜみんなスターバックスに行きたがるのか?』

0.png⇒ 最高の広告は、顧客体験そのものである。

テレビCMよりも重要なマーケティング
①店舗での体験、②お客様とのかかわり、③地域とのかかわり

参考外部サイトスターバックス採用サイト

00.png実はフラペチーノのテレビCMをしたことがあるが、効果が出ずにすぐに中止している。

また、スタバ創業当初はお金がなく、広告を出さなかった。

その中で「クチコミが最大の広告」と気がついたのだ。

拡散は、視聴者が口コミで広げる「告広」が基本。 「告広」は告げた結果、広がること。 つまり、個人の口コミで情報が広がること。

飯田祐基著「バズる動画・ライブ配信 確実に拡散するしくみ インフルエンサーマーケティングの基本がわかる本」

スターバックスは広告に頼らず、店舗での体験を重視する。

広告に回すお金があれば、メニューに個性的なドリンクを増やし、店内環境を充実させ、サービスのスピード向上のため従業員を増やす。

広告をしない結果、客からも「誠実で信頼感が高い」と言われるようになった。

広告の打ちすぎは逆効果になることもある。

悪いイメージを持たれる可能性もあるのだ。


値下げをしない理由

スタバは利幅が90%以上あるので、顧客体験に注力できる。

顧客体験を重視する企業にとってお客様とのつながりを創り出すチャンスは1杯のコーヒーの時だけ。

お客様には完璧なコーヒーを味わってもらわなくてはならない。

0.png⇒ 低価格競争はブランド価値を損なう。

00.png実はスタバは「お客様感謝デー」で20%オフを行った際、記録的売上を達成したが、トラブルも多かった。

❶お客が「値下げすることがある」と認識
❷値下げ前の数週間は売上が激減
❸値下げ当日は商品供給が追いつかず大混乱
❹店に翌日の商品を置けず、機会損失も多く発生
❺お客様の満足度が下がってしまった。

⇒ スタバも初めから成功していたわけではない。


値下げを行うと、顧客は通常価格で購入することに抵抗を感じる。

スターバックスは価格ではなく「顧客体験」に価値を置くことで、 ブランド価値を維持し続けている。

0000000.png267.pngハーマン・サイモン著『価格の掟―ザ・プライシングマンと呼ばれた男の告白』

高価格戦略で成功している企業のほうが、低価格で成功している企業よりも多い。 ほとんどの市場で、低価格戦略で成功できるのは1社か2社しかない

ハーマン・サイモン著『価格の掟―ザ・プライシングマンと呼ばれた男の告白』


スターバックスのマーケティングの6つのルール

スタバにはマーケティング・プログラム実施の際に、6つの暗黙のルールがある。

【ルール❶】誠実で信頼できる
お客様に誠実であり続ければ、施策も誠実なものになる

【ルール❷】気分を喚起する
言葉は場所、心地よさ、訴える内容をイメージさせることだ

【ルール❸】他社について一切触れない
競合を引き合いに出すと、他社に関心を集めるだけだ

【ルール❹】従業員のコミットメントを高める
店舗従業員がお客様にメッセージを伝えている

【ルール❺】約束したことは必ず守る
約束を守ることが、誠実なマーケティングになる

【ルール❻】消費者のインテリジェンスを尊重する
スタバは「グランデ→L、トール→M」と表示しない。

0.png⇒ すべての施策は誠実さと一貫性を重視する。
⇒ 「最大」より「最高」を追求する。

ビジョナリー・カンパニー(超一流企業)の条件
❶カリスマよりも組織づくり ❷基本理念を首尾一貫して浸透させる
⇒ 利益を超えた目的(基本理念)を持っている。

ジム・コリンズ著「ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則」

スターバックスは、業界最大手になることを目的としていない。

「最高のコーヒー体験を提供する」ことにフォーカスした結果、 世界的なブランドへと成長した。


オマケ:スターバックス役員たちの本棚

スターバックス役員たちが共通して読んだことのある本のリストが本書では紹介されている。

ここにあげる本のどれもがスターバックスのビジネスを形づくるのに重要な影響を与えた(そして今も与え続けている)。

ジョン・ムーア 著『スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?』


いくつかは既に要約している。

・スコット・ベドベリ著『なぜみんなスターバックスに行きたがるのか?』

・ジム・コリンズ著「ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則」

・ジム・コリンズ著「ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の原則」

・パコ・アンダーヒル著『なぜこの店で買ってしまうのか』

・ トム・ケリー著『発想する会社!』(予定)


まとめ

リベシティ用サムネ (40).png✅ ブランドは作るものではなく、評判を管理するもの。

✅ 値下げはブランドにとってマイナスになる。

✅ スターバックスの成功は顧客体験の提供にある。


⇒ ブランドは意図的に作るのではなく、誠実な活動の積み重ねで生まれる。

「ブランディングという魔法の粉を振りまけば、勝手に人を惹きつける息の長いブランドができる」というのは幻想であることを、スターバックスは私たちに教えてくれる。

ジョン・ムーア 著『スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?』


知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。

是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!

見ていただきありがとうございました!😆_.png

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