- 投稿日:2025/07/19
- 更新日:2025/10/01

初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回はチャールズ・A・オライリー/マイケル・L・タッシュマン著『両利きの経営』2019年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:チャールズ・A・オライリー
カリフォルニア大学バークレー校で情報システム学の修士号、組織行動論の博士号を取得。同校教授、ハーバード・ビジネススクールやコロンビア・ビジネススクールの客員教授などを経て現職。専門はリーダーシップ、組織文化、人事マネジメント、イノベーションなど。スタンフォード大学のティーチングアワードやアカデミー・オブ・マネジメント生涯功労賞などを受賞。また、ボストンのコンサルティング会社、チェンジロジックの共同創業者であり、欧米やアジアの幅広い企業向けにコンサルティング活動やマネジメント研修(破壊に対応するための企業変革や組織刷新、リーダーシップなどのプログラム)に従事してきた。スタンフォード大学のSEP(エグゼクティブ・プログラム)でも教鞭を執る。
著者:マイケル・L・タッシュマン
コーネル大学で科学修士号、マサチューセッツ工科大学(MIT)で組織行動論の博士号を取得。コロンビア大学教授、MIT客員教授、フランスINSEAD教授などを経て現職。専門は技術経営、リーダーシップ、組織変革など。アカデミー・オブ・マネジメント特別功労賞や全米人材開発機構(ASTD)生涯功労賞などを受賞。また、ボストンのコンサルティング会社、チェンジロジックの共同創業者であり、コンサルティング活動やマネジメント研修に従事。ハーバード・ビジネススクールのAMP(アドバンスト・マネジメント・プログラム)、マネジメント育成・変革リーダーシップ・組織刷新プログラムのファカルティ・ディレクターも務める。
✅ 企業は「探索」と「深化」を同時に行うべき。
✅ 既存の強みを活かしながら変化に備えよ。
✅ リーダーシップとマネジメントを使い分けろ。
著者らはイノベーション研究の第一人者として、コンサルタントとして企業に入り、数多くの事例分析をしてきた。
私たちは研究者として、また時にはコンサルタントとして、かなり多くの組織やマネジャー、リーダーたちと交流する機会に恵まれた。
こうした組織はたいてい戦略的なビジョンを掲げ、巨大な金融資本を持ち、賢くて勤勉な人材を大勢揃えている。
ところが、長期にわたって追い続けていくと、こうした企業はイノベーションや変化に直面したときに、なぜか苦戦しがちなのだ。
業界の変化に適応できずに、目も当てられない状況に陥る企業も少なくない。
チャールズ・A・オライリー/マイケル・L・タッシュマン著『両利きの経営』
長い歴史の中で、新規事業に対応し続け、成長してきた老舗企業は多い。
任天堂は花札屋から世界に誇るゲーム屋になった。
いつかはわからないが、企業の命運を分けるのは、変われるか否かである。
本書は多くの企業事例が紹介されているので参考になるだろう。
「成功の罠」が企業を滅ぼす
2002年、DVDレンタル最大手のブロックバスターは売上6000億円。
ネットフリックスは売上わずか3000万円だった。
2002年に、ネットフリックスが株式を公開すると、ブロックバスターの広報担当は「(ネットフリックスは)ニッチ市場のサービスだ。通販レンタルの需要が十分にあるとは思えないし、持続可能なビジネスモデルではない」と指摘した。2005年にネットフリックスがインターネットでの動画配信へと移行し始めると、ブロックバスターのCFO(最高財務責任者)は「現時点で(動画配信が)経済的にうまくいくとは思えない」と発言している。
チャールズ・A・オライリー/マイケル・L・タッシュマン著『両利きの経営』
だが、ふたを開けてみると…かつて、DVDレンタル最大手だったブロックバスターは、変化を拒み破綻。
一方、ネットフリックスは自らのビジネスを破壊しながら進化し、配信サービスの巨人となった。
なぜネットフリックスは何度も世界の変化に対応することができたのに、ブロックバスターにはそれができなかったのか
ブロックバスターのように市場の変化に対応できずに消滅する企業がある。
一方、ネットフリックスのように変化を活かして成長する企業もある。
この違いは何だったのか?🤔
「探索」と「深化」の両立が鍵
成熟事業の成功要因は漸進型の改善、顧客への細心の注意、厳密な実行だが、新興事業の成功要因はスピード、柔軟性、ミスへの耐性だ。その両方ができる組織能力(capability)を「両利きの経営(ambidexterity)」と私たちは呼んでいる。リーダーが成功の要だとすれば、両利きの経営は戦うための武器にあたる。
チャールズ・A・オライリー/マイケル・L・タッシュマン著『両利きの経営』
ブロックバスターは「深化」しかできなかったために消滅したと語られる。
成功した企業ほど深化ばかりやりがちだが、変化に直面した途端に破綻する。
これがサクセストラップ(成功の罠)である。
新規事業と既存事業の成長させる過程は異なる。
新規事業では、未知の新分野への探索(市場調査や失敗を繰り返すこと)が必要になり、一方で既存事業では、効率を追求して組織能力を向上させる(深化させる)ことが必要になる。
例えば、副業が軌道に乗り、本業としていく際、人やシステムを雇ったりするのはまさに組織能力を向上させる(深化させる)ことである。
Youtubeチャンネルが収益化を達成しても、そこで終わりではない。
日々の運営だけでなく、別のアプローチの模索も必要になっていく。
既存事業の手と新規事業の手。これが両利きである。
⇒ 深化だけに偏ると変化に取り残される。
スペンサー・ジョンソン著『チーズはどこへ消えた?』
では、「探索」だけはいけないのだろうか?🤔
「探索」のひとつ、スピンアウト戦略の落とし穴
有名な破壊的イノベーションを提唱した経営学者のクリステンセンは「企業は探索と深化を同時にできない。新規事業をスピンアウトすべきだ。」と言っていた。
しかし、この助言に従ったHP(ヒューレット・パッカード)のスキャナー部門は携帯スキャナー部門をスピンアウトしたが、企業が持っていた強みを活かせずに失敗した。
「スピンアウト」とは、企業が一部門や事業を切り離して、新会社として完全独立させることを指す。
元の企業のブランドや販売チャンネルといった資産を活用できないのが特徴。
ちなみに、「スピンオフ」は、派生的に生じることや派生により生じた物、副産物などを指す。
「イノベーションのジレンマ 増補改訂版: 技術革新が巨大企業を滅ぼすとき」
『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』
企業は既存事業で、実に数多くの強みを手に入れている。
例えば、写真フィルムで培った技術を医療や化粧品分野に転用し、再成長を遂げた富士フイルムがわかりやすいだろう。
「Value from Innovation」(「イノベーションで価値をつくれ」)のスローガンは新規事業の追求を目指している。
参考:富士フイルム公式サイト
もっと身近な話をするなら、新しく副業を始める際、「自分が持っている強み」から考えていくことはヒントになるし、続けやすい確率は上がる。
⇒ 「探索」だけに偏ると既存の強みが活かせないこともある。
⇒ リスクと効率、両方が必要なのだ。
新規事業は未知を探る「探索」、既存事業は強みを磨く「深化」。
両方を同時に実行できる企業だけが未来を切り拓ける。
「老舗企業は常に深化に専念し、すでに知っていることの活用にかけては腕を上げていく。それで短期的に優勢になるが、徐々に力を失い、つぶれてしまう」
チャールズ・A・オライリー/マイケル・L・タッシュマン著『両利きの経営』
リーダーとマネージャーの使い分け
転身と成功が可能だったのはひとえに、市場の変化に伴なって自社の強みを活用する方法を見通せるリーダーが存在していたからである。
チャールズ・A・オライリー/マイケル・L・タッシュマン著『両利きの経営』
⇒ 「探索」にはリーダーシップ、「深化」にはマネジメント。
未来を切り拓くには、「どこへ向かうか」を示すリーダーと、「どう登るか」を管理するマネージャーの両方が不可欠だ。
どちらかではない。
長生きするには「両方」必要である。
入山章栄著『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』
「柔軟性に富んだハイブリッド起業の活性化は、『起業大国』を目指す日本にとって有意義なはずだ」
入山章栄著『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』
両利きの経営はハイブリッド起業といえる。
「会社勤めを続けながら、それと並行して起業すること」
リスクを抑えながら事業を拡大する考え方は「複数の収入源を得る」手段として実に有効である。
「複数の収入源を持つ」というのは大きな武器と安心感をもたらしてくれるだろう。
ダーウィンが展開した進化論の下では、種、動物、人類の進化は、遺伝子の変異によるものであった。
世界が変化する時に、その環境により強く適合し、再生産が容易にでき、環境を占有できるタイプが生き残る。
これが進化論の要諦だ。組織についても同じことがいえる。
両利きの経営ができる組織こそが環境に適応し、より生き残りやすくなるのである。
広野彩子著『世界最高峰の経営教室』
まとめ
✅ 企業は「探索」と「深化」を同時に行うべき。
✅ 既存の強みを活かしながら変化に備えよ。
✅ リーダーシップとマネジメントを使い分けろ。
「イノベーションのジレンマ」を克服する解決策があると、多くの人が主張してきたが、私たちの考えでは、真の鍵は両利きの経営にあるのだ。
チャールズ・A・オライリー/マイケル・L・タッシュマン著『両利きの経営』
⇒ 自然界と同じ、「強い者ではなく、変化できる者が生き残る」
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆