- 投稿日:2025/06/28
- 更新日:2025/10/01

初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回は箕曲在弘 著『自分のあたりまえを切り崩す文化人類学入門』2024年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:箕曲在弘 (みのお ありひろ)
早稲田大学文学学術院教授。1977年東京都生まれ。専門は文化人類学、東南アジア地域研究。ラオスのコーヒー産地を主なフィールドに、環境・開発・経済に関する研究を進める。2002年早稲田大学第一文学部卒業、2013年同大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。東洋大学社会学部准教授などを経て、2022年より現職。第12回アジア太平洋記念賞(井植記念賞)、第42回澁澤賞などを受賞。
本書は、こうして日本の外に出たことがきっかけで私が学ぶようになった「文化人類学」という学問のおもしろさを、はじめて学ぶ人たちに伝えるために書きました。文化人類学は、国語や英語、世界史や日本史といった高校までに学ぶ教科にはないものですから、大学に入ってはじめて耳にする分野かもしれません。
箕曲在弘 著『自分のあたりまえを切り崩す文化人類学入門』
✅ あたりまえの裏に文化がある。
✅ 「贈り物」や「集団」にもルールがある。
✅ 異文化理解が、自分を変える鍵になる。
文化人類学は常識の正体を見抜く学問
もっとも重要なのは、こうした異文化に着目することにより、私たちがあたりまえだと思っていた考え方や価値基準について、それがあたりまえではないと気づくことにあります。
箕曲在弘 著『自分のあたりまえを切り崩す文化人類学入門』
「文化」とは見えないルールである
いわば、暗黙のルールのようなものを共有しているのです
箕曲在弘 著『自分のあたりまえを切り崩す文化人類学入門』
⇒ 暗黙のルールに気づけば、世界が変わる。
文化人類学が探究する”文化”は、「普段意識しない行動パターンや意味づけ」を指している。
友人からの贈り物にお金を払わないのも、その背後に「売り買いではない」という文化的な了解があるから。
場面に応じて、望ましいかどうかを感じ取れる「内面化された感覚」が暗黙のルールである。
異文化体験が「気づき」を生む
⇒ フィールドワークは自分の枠を壊す装置。
人類学者は異文化のなかに入り、生活をともにして観察する「参与観察」を通じて、あたりまえの基準を問い直す。
これが「自分のものさし」を再構築するきっかけになる。
ひと昔前、やりたいことが見つからない若者は海外(インド等)に行って自分探しする風潮が自分の周りにはあった。
コロナ情勢が落ち着いた今もそうなのだろうか?
話を戻すと「自分のあたりまえ」を破壊するために行われていた。
日本食は食べられないし、盗難や路上で寝ている人物は当たり前。
トイレ1つとっても、「…あれ?…えっ!?」という体験にあふれている。
結果、自己変容を生み出す気づきへとつながる。
最も、気づいてアクションや変化を起こす方が重要になるが…。
別に海外に行く必要はない。
何だったら、普段やらないこと、普段と違う人と仕事してみるのもいい。
その人物の発言や当たり前に違和感を覚える経験を、簡単に得られるだろう。
この時、感情ではなく分析してみると下手に不快にならないかもしれない。
ちょっとした自分の機嫌をとるテクニックだ。
人間関係のルールはひとつじゃない
人びとは電車やバスといった交通機関を、私的空間とは異なるものとして意味づけていて、そのような公的空間ではどうふるまうのが適切なのかを知っています。
(このとき当事者たちが私的空間/公的空間という言葉を知らなくてもかまいません)
箕曲在弘 著『自分のあたりまえを切り崩す文化人類学入門』
集団には「資格」と「場」の2軸がある
⇒ 所属のしかたは、社会によって違う。
人間関係の構築には、「血縁」や「職業」といった資格的な原理と、「会社」「家」などの場的なつながりがある。
どちらが主になるかは社会の状況次第。
中根千枝著『タテ社会の人間関係』
完全な男社会である当時のキャンパス環境で活躍するため、日本特有の「タテ社会」での処世術を極めた人物の書籍。
日本社会の構造を的確にとらえるための「モノサシ」として存在している。
ゆえに、この本はロングセラーとなった。
「ウチとヨソ」には文化的境界がある
⇒ よそ者に冷たい理由も、文化に根ざす。
日本では「ウチ」と「ヨソ」がはっきり分かれ、ヨソに対して冷たくなりがち。
それは「家」や地域など、場を共有する文化的感覚が影響している。
親族は「『血縁』と『婚姻』によって生まれた関係」と定義される。
1930年代当時のアフリカには、王(統治者)のいない社会も複数あり、秩序だった暮らしを送っていた。
こうした社会から見いだされたのが、生まれを基本とした「出自集団」という概念だという。
父方もしくは母方の親族のみで形成された出自集団も存在する。
地位や財産の相続、姓の継承の中でつくられた集団のなかで、人びとは暮らしている。
「最近の日本人は貧しくなって、他人に冷たくなった。」
この問いは果たして本当にそうだろうか?
山岸俊男著「日本の『安心』はなぜ、消えたのか」
村社会のルールが生んだ閉鎖的な安心感が「安心社会」と表現している。
「集団」というタガが外れた場合、「安心社会」の人間が悪い方向に向く可能性を示唆している。
贈り物は“返礼”を前提にしている?
クラ交換が示す人間の本質
南太平洋のトロブリアンド諸島では、貝の装飾品を贈り合う「クラ」という慣習がある。
私たちが普段考えるような物々交換とは異なり、赤い貝の首飾りソウラヴァと、白い貝の腕輪ムワリという2つの装飾品を贈りあう。
参考外部サイト:文化人類学から経済を考える
クラ(kula)は、パプア・ニューギニアのトロブリアンド諸島で行われてきた儀礼的な交易の慣習。
同時に交換することは忌避され、必ず一定の時間差をおいて贈りあうし、贈られたものと同等の価値の腕輪ないし首飾りを贈る慣習になっている。
⇒ 贈与は交換ではないが、義務になる。
これは物々交換ではなく、信頼と名誉のネットワークをつくる行為。
クラは、財の交換(交易)という経済活動だけで捉えることはできない。
贈り物の裏にある「負い目」の感情
⇒ 贈ることで関係が動き出す。
返礼のルールや「つまらないものですが」という言葉には、相手に負担をかけないための文化的配慮がある。
贈与は、人間関係のコントロール手段にもなりうる。
世界中で賄賂がなくならないのは、贈与によって人を支配できることをみんな本能的に知っている。
アダム・グラント著『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』
「欲(ほっ)するならば、まずは与えよ、さらば与えられん。」
ただし、成功するギバーは自己犠牲的ではない。
全体の利益を考えるからこそ、自分も得できる。
ロバート・B・チャルディーニ著『影響力の武器[第三版]』
相手の厚意に応えるべきだと感じる心理が「返報性」の原理である。
例えば、試食品をもらったらその商品を購入しやすくなるのは、この心理が働いている。
「顧客に『無料試供品バッグをご自宅に3日間置かせてください。試しに使ってくださいね』と伝え、3日後に試供品バッグを回収し、注文を取りなさい」というもの。
信じられないほど売れるそうだ。
⇒ 厚意か販売手段かを見極める。
まずは相手の意図を冷静に分析する習慣を持とう。
岡奈津子 著『〈賄賂〉のある暮らし』
直接的にせよ間接的にせよ、カネを渡す相手が信頼に足る人物か否かが、交渉の成否を左右する鍵となる。 袖の下を渡す際にコネが果たすもうひとつの役割は、「価格」への影響だ。強いコネは賄賂の金額を下げる働きをする。
岡奈津子 著『〈賄賂〉のある暮らし』
賄賂は単なる不正ではなく社会の「制度」でもある
まとめ
✅ あたりまえの裏に文化がある。
✅ 「贈り物」や「集団」にもルールがある。
✅ 異文化理解が、自分を変える鍵になる。
⇒ あたりまえの正体を知ることは、自分を変える旅の第一歩。
人類学は、「人間とはいかに”共通”しているか」ということを教えてくれる。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆