- 投稿日:2025/10/11
- 更新日:2025/11/04
初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回はマックス・ギュンター著『マネーの公理』2005年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:マックス・ギュンター
投資家。かつてスイス銀行界で幅を利かせていた金融マフィア「チューリッヒの小鬼」の1人を父に持つ。13歳で株式マーケットに参入し、財を成す。
✅ 富を築くには「リスク」と付き合うべし
✅ 常識や多数派を信じすぎてはならない
✅ 直感よりも、経験から生まれる判断を
給与や賃金収入でもお金持ちになることはない。不可能だ。
世界の経済構造は、あなたに不利になるようにできている。
マックス・ギュンター著『マネーの公理』
「投資・投機は怖い」
「損したくない」
「でも稼ぎたい」
そんな感情のせめぎ合いに、悩んだことはないだろうか?
世の中には情報が溢れている。
SNSでは「この株が熱い」「仮想通貨が今アツい」と煽り、メディアは有名人の“成功の裏話”で視聴率を稼ぐ。
しかし“本当に信じるべきもの”はどこにあるのか?
そもそも、投機と投資の違いは何か?
投機とは「確率」にお金を投じること(短期間の視点)
投資とは「価値」にお金を投じること(中長期的な視点)
資産形成という視点では、間違いなく長期・分散・低コストのインデックス投資がベストとは言えないものの、ベストよりのベターである。
インデックス投資では、コストが低く、広く分散された、優良なファンドを選ぶことが大切。
また、基本的には15年以上の長い時間をかけて運用することで、成果が出やすいと言われている。
株式投資において「ここだけのおいしい話」が出てきたら、詐欺の可能性が高いので注意しよう。
そもそも、インデックス投資の理論は1960年代、実務面では1971年(機関投資家向け)、そして個人投資家向けファンドは1976年に誕生した。

出典:Wikipedia
ジョン・C・ボーグル:史上初めてそれを個人向けに提供した投資会社バンガード・グループの創設者
彼が設立した「ファースト・インデックス・インベストメント・トラスト」(後のバンガード500インデックスファンド)が最初である。(1976年)
ただ、私たちは理解しなければならない。
定額、積立、分散投資ではすぐにお金持ちになることはない。
事実を正しく理解することで、どのルートや期間でお金持ちになっていきたいのか?
必要な金額はおおよそいくらなのか?
投資以外の道で行くのか?組み合わせていくのか?
正しく選択肢を理解し、多くのやり方を持ち、1つの方法が上手くいかなければ、サッとほかの方法に切り替えるべし。
インデックス投資に固執するのと、インデックス投資だけで十分と判断するのは大きな違いがある。
今回は、スイスの銀行家たちが築いた「リスクとのつき合い方」を体系化した書、『マネーの公理』を通じて、現代人が陥りやすい“思考のワナ”と“自分だけの羅針盤”を再発見していく。
『マネーの公理』の原著は1976年に出版された。
その内容は現代の金融市場や行動経済学の知見と驚くほど整合性が高いのが特徴である。
『マネーの公理』

スイスは山の中にある。スイス人はそこから世界中を見渡し、世界がリスクに満ちていることを知っている。
マックス・ギュンター著『マネーの公理』
日本人が「スイス」と聞いて思い浮かべるものには、豊かな自然(特にアルプス)、スイスチョコレートや時計。
「チューリッヒ生命保険」や大手金融機関「クレディ・スイス」もそう。
日本の富裕層向けのプライベートバンキングでゴルゴ13などの創作では、“秘密口座”“隠し口座”として連想されることもある。
なんとなく、強固な秘密主義や顧客保護のイメージがある。
そもそも、スイスは鉱物資源に乏しく、土地も農業に適さない環境のため、金融に力を入れた経緯もある。
さて、話を戻すと、本書にある『マネーの公理』の本来の名称は「チューリッヒの公理」である。
かつて金融界で名を知られたスイスの金融マフィア「チューリッヒの小鬼たち」による儲けの掟をまとめたものである。
チューリッヒの小鬼たち:スイス・チューリッヒの銀行家たち(特に秘密主義が徹底されたスイスの銀行家や金融業者)を指す。
なぜ、小鬼かというと、1960年代半ばのイギリスにさかのぼる。
チューリッヒの銀行筋によってイギリス・ポンドを売り込み投機的な取引を繰り返し、その結果としてポンドが大暴落の危機にさらされたため、イギリス側がスイスの金融関係者を暗躍する「小鬼(Gnome)」になぞらえて当時の首相が批判したことからきている。
チューリッヒの公理は、12の公理と16の副次公理から構成されている。
❶リスクについて
「心配は病気ではなく健康の証である。もし心配なことがないなら、十分なリスクをとっていないということだ。」
❷強欲について
「いつも利益を早めに確定すること」
❸希望について
「船が沈み始めたら、祈るな。飛び降りろ!」
❹予測について
「人間の行動は予測できない。未来を知っていると主張する者を、どんなに漠然としていても信用するな。」
❺パターンについて
「混沌は、秩序立って見えるようになるまでは危険ではない。」
❻機動力について
「根を下ろすことを避けよ。それは動きを妨げる。」
❼直観について
「直観は、それが説明できるなら信頼できる。」
❽宗教とオカルトについて
「宇宙に対する神の計画が、あなたを金持ちにすることを含んでいる可能性は低い。」
❾楽観と悲観について
「楽観主義とは最善を期待することだが、自信とは最悪の事態にどう対処するかを知っていることだ。単に楽観的なだけなら、行動を起こすな。」
➓コンセンサスについて
「多数派の意見を無視せよ。それはおそらく間違っている。」
⓫執着について
「もし最初からうまくいかないなら、忘れろ。」
⓬計画について
「長期計画は、未来がコントロール下にあるという危険な信念を生み出す。自分自身の長期計画も、他人の長期計画も真剣に受け止めるな。」
副次公理は各公理を補強する内容やエピソードである。
「人生を生きる賢明な方法は、リスクを回避することではなく、自らをあえてリスクにさらすことである」という考え方がある。
金融市場における投機に限定されず、人生におけるあらゆる状況に置き換えやすい。
普遍的な教訓として知っておこう。
投資に必要なのは「安心」ではない
「すべての卵を一つのカゴに入れろ、そして見張れ」。
人生において、富であれ、個人の名声であれ、利益として定義できるものを増やすためには、自分の所有物や精神的な満足感をリスクにさらさねばならない。
マックス・ギュンター著『マネーの公理』
⇒ 心配のない投資は危険だ、分散しすぎると儲からない。
⇒ リスクがないなら、それはもはや“投資”ではない。
「心配は病気ではなく健康の証である。もし心配なことがないなら、十分なリスクをとっていないということだ。」
心配しているときこそ、あなたは「生きたゲーム」の中にいる証拠。
過剰な安全策は、チャンスの芽を摘み取る。
例えば、100ドルを賭けてそれが倍になったとしても、依然として貧しいままである
実践的な指針として、”投機”を開始するならば、少しでも「心配になるような金額」を賭けるべきだという。
富を築くためには、意図的にリスクを取る行動が不可欠。
すなわち、人生はギャンブルである。
どのような仕事につくのも、どこに住むのかも、そもそもどこで生まれるかも、自分1人で決めることはできない。
ただ、万一の損失が、破産に至るほど巨大であってはならないというバランス感覚が求められる。

ハワード・マークス著『投資で一番大切な20の教え』
多くの学者が「変動性=リスク」と定義するが、実際に投資家が恐れるのは資金を失うこと。
この定義を誤ると判断を誤る。
我々は投資している以上、そのお金が増えることを期待している。
厳密にいうなら、自分がそのお金を使う際に投じたコストよりも、使い始める際に減ってほしくないと言い換えることができる。
「儲けること」と「損失を避けること」どちらを重視するかと質問する。返ってくる答えは決まって「両方」だ。 だが儲けと損失回避の両方を最大限に追求することはできない。 各投資家はこの二つの目標に関するスタンスをはっきりさせる必要があり、そのためにはどうバランスをとるのが妥当か決めなければならない。 この決断は意識的、そして理性的に下すべきである。
ハワード・マークス著『投資で一番大切な20の教え』
人間の心理が損失を招く
沈む船からどうすれば、助かるのか?
小さな損失は人生の現実として甘んじて受けよ。
大きな利益を待つ間には、何度かそういう経験をすると考えろ。
マックス・ギュンター著『マネーの公理』
⇒ 利益を欲張るとすべて失う。「祈るな、飛び降りろ」
⇒ 強欲は、成功の最大の敵。
⇒ 損切りは素早く、淡々と。
投機において損失は避けられないものであり、それを「入場料」や「大きな利益を期待する権利」と見なすべきである。
「後悔の念(売却後に回復する恐れ)」
「痛みの回避(損切りを避ける感情)」
「間違いを認めることの困難さ(エゴの保護)」
この3つが合理的な損切りを妨げ、結果として小さな損失を大きな損失へと拡大させる直接的な原因となる。
船が沈み始めたら祈るのではなく、行動せよ。
目標とする利益水準を事前に設定し、それが達成されたら躊躇なく利益を確定するか、損切りしなければならない。
その基準は、購入時の5%でも、20%でも構わない。
高配当株式投資で、想定していた配当の5年分に相当するようなキャピタルゲインだったら即売りする。でも構わない。
いずれにせよ、1つの失敗(成功)に固執することで、他のより有望な機会を見逃すという機会費用を忘れてはいけない。

ナシーム・ニコラス・タレブ 著『ブラック・スワン』
個々の要素(人間の行動)が予測不能である以上、全体としての予測も困難である。
⇒ 昨日までの平穏が明日も続くとは限らない。
⇒ 過去から導いた結論は幻想に過ぎない。
ブラック·スワン(黒い白鳥)とは、まずありえない事象のことであり、次の三つの特徴を持つ。 予測できないこと、非常に強い衝撃を与えること、そして、いったん起こってしまうと、いかにもそれらしい説明がでっち上げられ、実際よりも偶然には見えなくなったり、あらかじめわかっていたように思えたりすることだ。 グーグルの驚くべき成功も9·11も黒い白鳥である。
ナシーム・ニコラス・タレブ 著『ブラック・スワン』
未来を正確に予測するのではなく、「壊れにくくする」ことに集中せよ。
ギャンブラーは「手持ちの手札」が「悪い」とき、”良くなるのを待つ”のではなく、どのように自分を救うかを考えるという。
「予測」より「反応力」で勝て
一次情報(体験)のない勝負は必ず予測に頼り始める。
「稲妻が輝く瞬間」を見逃すな。
すべての預言者は、時々正しいし、時々間違っている。どちらかというと後者の方が多い。
マックス・ギュンター著『マネーの公理』
⇒ 未来を語る預言者より、いまの“兆し”に反応せよ。
⇒ チャートや傾向は幻想でしかない。
予言者(成功者)は、多くの予測のうち当たったものだけを語る。
そして、市場の動きが何百万もの人間の意思決定の集合体であり、その行動を正確に予測することは不可能である。
これは50年以上前から言われている。
私たちができることは予測よりも、変化への即応こそが鍵。
未来やパターンに頼りすぎてはいけない。
未来の予測に依存するのではなく、現在実際に進行している事象に素早く反応する戦略をとろう。
われわれは誰でも、何が起こるかあれこれ考え、心配をする。しかし、予測を学ぶことによってその心配を回避しようと考えるのは、貧困の法則である。
マックス・ギュンター著『マネーの公理』

バートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー』
どの時代でも、人々の「これは例外だ」という過信が破滅を呼んできた。
今になって振り返ると、我々は2000年の初めにバブルはピークに達して弾けたことを知っている。しかし誰一人として、事前にピークのタイミングを正しく予想できた人はいなかった。実際、タイミングを読んでうまく売買益を稼ごうとした投資家は、個人であれ機関投資家であれ、総じてことごとくタイミングを間違えたことが分かっている。
バートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー』
判断力の正体を知る
儲かりそうな理由をしっかりと説明できるのか?
助言を与えるのは簡単だが、お察しの通り、実行するのは容易ではない。
マックス・ギュンター著『マネーの公理』
⇒ 直観は「説明できて」初めて信頼できる。
⇒ 多数派の意見は、すでに陳腐化している。
⇒ ひらめきと希望は違う。他人の声を鵜呑みにするな。
「直感」と「直観」はどちらも「ひらめき」や「即座に物事の本質を捉える」という意味合いで使われるが、「直観」は、経験や知識に基づいた思考や概念が、無意識のうちに働いて得られる洞察である。
直観を信じるなら、その根拠を言葉にしてみよう。
「直感」はより感覚的、感情的な要素が強く、根拠を説明することが難しい場合で使われる。
感情的な願望に基づく「希望」は、客観的な根拠を持たないため、投資判断の基準としては危険。
直観と希望を混同するな
マックス・ギュンター著『マネーの公理』
楽観主義とは最善を期待することである。
自信とは最悪の事態にどう対処するかを知っていることだ。
単に楽観的なだけなら、行動を起こしてはいけない。

マルコム・グラッドウェル著『第1感―「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』
直感は時に「見た目」や「雰囲気」に騙される。
判断の誤りや偏見の温床にもなりうることを自覚する必要がある。
「分析麻痺」と呼ばれる現象は、情報を詰め込みすぎた(情報過多)結果、判断できなくなる状態である。
理由はわからない、でも「感じる」
マルコム・グラッドウェル著『第1感―「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』
単なる「勘」と、経験に裏打ちされた「洞察」を区別せよ。
まとめ
✅ 富を築くには「リスク」と付き合うべし
✅ 常識や多数派を信じすぎてはならない
✅ 直感よりも、経験から生まれる判断を
もし、最初にうまくいかなければ、忘れろ。
マックス・ギュンター著『マネーの公理』
⇒ 富とは、合理的に“恐怖”と向き合う者に訪れる
また、この書籍の興味深い点は、難平(ナンピン)買いに対する示唆である。
難平買いは自分自身を騙すことである。
どんなにもがいて逃げようとしたり、身をくねらせて問題を回避しようとしてもあなたが最初の100株について1株100ドルを支払ったという事実は変わらない。
マックス・ギュンター著『マネーの公理』
今売る必要はない、もっと株価が仮に下がっても買い増せば、購入平均コストを減らせると考える前になぜその投資先を選んだのかを十分に説明できなければいけない。
それが投機・投資における反省であり、次へ進む検討になるという。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆

