- 投稿日:2024/10/17
- 更新日:2025/09/29

はじめに
自由時間と幸福度の関係
2021年にアメリカ心理学会に自由時間が少なすぎても多すぎても幸福感が低下するという論文が掲載されたようです。
以下論文サマリー
https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fpspp0000391
日本でも労働時間と幸福度に関する調査がなされているようで、労働時間が長いと幸福度が下がる(特に女性において)という調査結果があります。
※職業区分別なので自由時間以外の要素も多分に絡んでいそうなので、単純比較ではない点に注意してください
東京新聞WEB
https://www.tokyo-np.co.jp/article/316208
ありあまる自由時間を持て余す、プロ無職がこれらの研究に何を感じ、何を思うのか。
労働と自由、たまに社会について好き勝手に書き散らします。
自己紹介
申し遅れました。私は無職歴1年と6か月のBALと申します。プロ無職と言っても過言ではないでしょう。毎日がホリデー、無駄な時間こそ人生そのものだといわんばかりに、日々を非生産的に過ごしております。小人閑居して不善をなす。
※プロ無職についてはコチラの記事を参照してください
さて、そんな私ですが無職力を高めると称して、色々と情報収集をし
✅無職とは何か
✅労働とは何か
✅幸福とは何か
についてアップデートを果たしました。
これが今流行りの無職2.0です。
決して無職の人間が、働かない言い訳を絞り出すために理屈をこねくり回しているわけではありません。勘違いしないでよね!
Q.どこまで無職の生き方を貫けるかな?
出展:るろうに剣心第百十四幕「突き立てる牙」より
無職の定義
そもそも無職とは何なのでしょうか?文字通り「職」が「無」い状態を指しているかと思いますが、人によって状況は様々かと思います。
というわけで色々な無職本を読んでいると、無職を定義している本もあったので引用します。
✅組織から外れること
✅次のお金を得る「手段」を確保していないこと
✅生活できる最低限の「収入」を確保していないこと
無職になったら読む本 著:谷崎 玄明
この本においては会社員でもなく、フリーランスでもなく、FIREしてるわけでもない人を無職と定義しているようです。
実は・・・開業届は出してます
私自身は無職歴1年6か月ですが、その間に趣味で部屋一つ丸々使ってコオロギを繁殖させています。コオロギを食べない肉食及び雑食生物はいないので、コオロギは万能です。こんなのいくら持っていても困りませんからね。
増えすぎて、ただ殺すのも勿体ないので、たまに人に販売してます。ついでに失業保険ももらい終わったので、2024年5月に開業届をノリと勢いだけで提出してみました。
こんなこというと「お前無職やなくて収入のないフリーランスやんけ」という反論が来そうですが、落ち着いてください。ちゃんと私は無職の3要件を満たしています。TRUE無職です。FALSE無職ではありません。
あくまでも、たまにコオロギを販売している無職のオジサンです。
コラム:ニートには年齢制限あり!
無職のことをニートと言いますが、ニートには年齢制限があることをご存知でしょうか?
日本における若年無業者(ニート)の算出方法は、総務省統計局がおこなう労働力調査の「詳細集計」に基づいている。この定義では、非労働力人口[16]の中で、家事も通学もしていない15-34歳の者と定義している[17][18]。労働力調査における「非労働力人口」は求職活動をしていないことが条件なので、OECDの定義とは異なり、若年失業者(求職活動を行っている)は除外される。
Wikipedia 日本の定義における統計
つまり、35歳以上はニートではありません。若者ではありませんので(現実は非情である)。
では35歳以上の無職は何と呼べばいいのでしょうか?それはそのまま「無職」と呼ぶか、ニーティングライフを送ってるとでも言っておきましょう。
人間は何故働かねばならないのか?
生きていくには金が必要だから
資本主義社会で生きていく以上はお金は必要不可欠です。現在の日本にはベーシックインカムは実装されていないので、完全な自給自足でもしない限りお金は必要になります。
貨幣経済社会から評価経済社会への移行などと言われいますが、通貨を完全になくすことはできないでしょう。ムラでシンライだけで生活するのは現実的には不可能です。
というわけで、無職の私は日々減り続ける現金を眺めながら生活しています。無職生活をする場合にはこのストレスに耐える忍耐力が必要になってきます。
労働の成果(年収)が人間の評価になってしまいがち
さて、では人々はライフワークならぬライスワークのためだけに生きているのかと言われれば、そんなことはないでしょう。仕事にはお金以外にも、やりがいや成長性、自己実現などを兼ねている人も多いかと思います。
ところが産業革命以降の近代の資本主義における価値観においては
「人間の価値=仕事の成果」となりがちです。
生きるために仕事をしているわけではなく、仕事のために生きていて、仕事に人生を乗っ取られていると言っても過言ではありません。
そんなことはない、と思っている人は自分が他人から言われたときにどちらが嫌ですか?
問1「あなたは仕事ができないね」
問2「あなたは絵(歌、料理)が下手ね」
問2は絵でも歌でも料理でも鉄棒でも跳び箱でも何でも構いません。おそらく問1のほうが嫌という人の方が多いのではないでしょうか?プロ無職の私でさえ、会社員時代なら問1の方が嫌だったと思います。
つまり、それだけ人間の価値というものが仕事に付随していると言えるでしょう。
参考動画
仕事がつらいのは、あなたが改造されたから(前編)
「仕事ができない」はなぜ最高の悪口なのか?(後編)
動画のネタ元の本
なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか
私なりの感想文
仕事に価値など見出すな
年収は才能だけでは決まらない
ところが、仕事によって社会からの評価はされる一方でいわゆる仕事の成功は才能と強く結びついているわけではありません。
仕事の成功と関係しているのは才能(Talent)より運(LUCK)であるという研究結果です。
この研究ではコンピューターモデルを用いて、1000人の資産推移をシミュレーションしています。結果として一番才能があった人が一番資産を得たわけではなく、そこそこ才能があった人が一番の富を築きました。
つまり、才能よりも運の方が資本主義社会では重要ということを示したのです。
ただし、ここで注意していただきたいのは運"だけ"では成功できず、運によって降ってくるチャンスを掴むだけの才能が必要なので、一番成功しているのは、そこそこの才能がある人という点です。才能が不要というわけではなく、一定以上の才能があれば、あとは試行回数の方が重要というのが、この研究のポイントですね。
参考論文|TALENT VERSUS LUCK: THE ROLE OF RANDOMNESS IN SUCCESS AND FAILURE
2022年 イグノーベル賞受賞論文
関連して、社会的な成功者が失敗者に自己責任を押し付けることへの警鐘もならされています。端的に言うと、金持ちがホームレスに対して、お前らが貧乏なのはお前らのせいだから、自分でなんとかしろ、みたいなことを言って切り捨ててはいけないという話ですね。
参考文献|ダーウィンエコノミー 著:ロバート・H・フランク
訳:若林 茂樹
この章をまとめると
働いていない⇒年収がない≠無能であるとも言えます。これは働いていない私を正当化しているわけではなく、むしろ私は仕事をしない努力を継続しているとも言えます。重ねて申し上げますが、決して働かないための言い訳ではありません。
コラム:フリーライダーについて
個体の仕事をほとんどせずに、社会の仕組みから美味しいところを持って行く個体をフリーライダー(タダ乗り)と言います。
日本においては年収800万円未満だと、納めている税金より社会保障にかかっている費用の方が大きいと言われています(受益超過状態)。日本の社会保障の手厚さと資本主義におけるロングテール分布の格差が良くわかりますね。
さて、私は無職なので、湘南のサーファーたちも真っ青になるほどのバリバリのフリーライダーです。
フリーライダーが増えすぎた社会はどうなるのか?アリの社会にはその研究結果があります。
アミメアリというアリにおいては、働きアリも産卵することが出来ます。通常の働きアリは、産卵以外にも育児、採餌、巣の掃除などの他の仲間のためになる仕事をするのですが、突然変異でフリーライダー型のアリが出現します。
フリーライダー型は、体が大きく、たくさん産卵しますが、他の仕事は一切しません。そのため、通常アリにその他の仕事を押し付けて負担をかけます。
一方でフリーライダー型の子孫はフリーライダー型となるため、巣内においてフリーライダーの比率はどんどん増えていくのです。
最終的にはフリーライダーが4割を超えたあたりで、その巣は崩壊し、全滅します。
そして全滅すると他所から別のアミメアリの集団が定着するという流れです。
社会は破壊と再生を繰り返す。とても感慨深いですね。
参考文献|働かないアリに意義がある 著:長谷川 英祐
自由時間と幸福度について
さて、無職と労働と社会について好き勝手に書き散らかしましたが、冒頭の自由時間と幸福度の関連について戻ってきます。
ここからはなぜ自由時間が多すぎると幸福度が下がってしまうのか?幸福に過ごすにはどうしたら良いのかを個人的な視点で書いていきます。ソースは特に必要ないとの噂を聞いたので、好き勝手に書いていきます。
他者からの評価
前章で書いた人間力の評価=年収の部分が大きいのではないかと思います。人生を評価する絶対的な軸はないために、社会の風潮、他者からどうみられるかを基準とする考えです。ヒトは亜社会性の生き物であるため、この評価軸は当然と言えるでしょう。
しかし、何事もバランスが大事。
一部の高齢クレーマーでは店舗等にて
「俺は○○という大企業の元部長だぞ!」のように肩書を振りかざしてくる人がいるそうです。このような例などは典型的な他者からの評価をぜったい基準として、定年退職後にその軸を失ってしまったことによりモンスター化してしまった人間と言えるでしょう。
自己満足力
無職を貫くためには外的動機(周囲からどう思われるか)より内的動機(自分自身がどう思うか)を強く持つ必要があると思われます。言い換えると自己満足力とでも言えるでしょう(※1)。
前回の無職記事でも書きましたが、この力は諸刃の剣で高すぎると労働意欲と稼ぐ力が激減するため、高すぎる無職の才能も考え物かもしれません。
※1 11/19追記 動機の違いについてはコチラにまとめました
無職力テスト
というわけで無職力評価テスト作ってみました。
お遊び要素を含むので占い感覚でやってみてください。占いは学問的要素もデータ論拠も不要なので適当なことを言っていても許されます(多分)。
✅アリの行列を30分眺めていても飽きない
✅ゲームはストーリーモードを一度クリアするまでがチュートリアル
エンドコンテンツからが本番
✅公園や図書館などの無料の行政サービスは可能な限り使い倒そうと思っている
✅無駄に時間がかかる料理(発酵食品含む)を作るのは楽しい
✅一人で焼き肉屋、カラオケなどに行ける
✅関わりの薄い他者から称賛されてもうれしくない。むしろ罠かと疑ってしまう
✅1日中家にいても苦ではない。むしろ自室こそ最高の癒し空間である
✅自己紹介で「無職です」と言っても特にダメージがない(ただしTPOによる)
✅毎日同じことを繰り返していても飽きない
✅働いたら負けだと思っている
Yesが3個以下
⇒無職力たったの5か・・・真人間め
Yesが4個~7個
⇒無職力24,000だと?機械の故障じゃないのか?
Yesが8個以上
⇒あなたの無職力は530,000です。もちろん本気を出してはいけません。
まとめ
色々と書き散らかしましたが、結局は何事もバランスが大事だよねという凡庸な結論に落ち着くかと思います。
私も
「どこまで無職の生き方を貫けるかな?」
と聞かれたら「無論、死ぬまで」と答えたいところですが、気が向いたり、働かざるを得なくなったら働くかもしれません。
みなさんも自由時間、労働、幸福、お金については自分自身ののバランス良いところを探して見てください。
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