- 投稿日:2025/05/17
- 更新日:2025/10/01

初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回はエドワード・L・デシ 著『人を伸ばす力』1999年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:エドワード・L・デシ出典:Wikipedia
ロチェスター大学の心理学教授兼ゴウエン社会科学講座教授。
心理学分野では、彼の内発的/外発的動機づけや基本的心理欲求に関する理論によって知られている。
✅ 外発的報酬は内発的動機を阻害する。
✅ 自律性と有能感が成長の鍵である。
✅ 自己決定の環境が個人と組織の発展を促す。
この本のねらいを手短かに述べておこう。
それは、さまざまな動機づけ研究から自律性と責任感の関係について探り、疎外をもたらす世界において責任ある行動を促すという問題に活かすことである。
この本には希望がある。
なぜなら、自分たちのために、子どもたちのために、雇われている人たちのために、患者のために、学生のために、スポーツをする人のために、私たちは何ができるのか -- 私は社会のために何ができるのか -- を提示しているからである。
エドワード・L・デシ 著『人を伸ばす力』
「報酬はやる気を高める」と多くの人が思っている。
その常識を覆したのが、心理学者デシが書いたこの1冊である。
『人を伸ばす力』
■ 外発的動機付けの逆効果
オットセイの曲芸に例えるなら、腹ペコのオットセイは飼育係が持つ魚を目当てに、前ビレで拍手したり観衆に手を振ったり、なんでもやる。
「同じように魚を与えれば、部下や子供も言うことをきくだろう。」
この場合、ご褒美の魚がもらえないと、何もしなくなる。
これを「外発的動機付け」と呼ぶ。
・「外発的動機付け」は何が問題か?
子供に「1時間勉強したらお小遣いをあげる」と約束すると、お小遣いがなくなると勉強しなくなる。
つまり、報酬に関心を持つと、人は報酬獲得のために最短で手っ取り早いやり方を選ぶようになるのだ。
本質はビジネスの拡大と同じである。
自分がより単価の高い仕事をするために、誰かにお願いする。
これもまた、報酬獲得のやり方である。
何の違いもないのだから、誰も文句を言うことはできないのだ。
ダン・アリエリー 著『予想どおりに不合理』
面白い事例がある。
イスラエルの託児所で罰金を導入すると、親の遅刻が増加した。
金銭が絡むと罪悪感が薄れ、社会規範が崩れてしまう。
参考外部サイト:東洋経済オンライン
保育園「遅刻に罰金科すと、さらに遅刻増えた」訳
⇒ 報酬や脅しは内発的動機を低下させる。
成果に見合う報酬は、たしかに人を動機づける。
しかし、仕事そのものではなく「報酬」に関心が向いてしまうと、手っ取り早い方法を選ぶようになる。
外部報酬は一時的な行動促進に留まり、行動そのものの楽しさを損なう結果となる。
似た概念に心理的安全性がある。
ここではなんでも言える。心おきなくリスクがとれる」と感じる雰囲気は仕事を円滑に進めるうえで、必要である。
参考:エイミー·C·エドモンドソン 著『恐れのない組織』
心理的安全性とは、組織内で自由に意見を述べたり挑戦することができる環境を指す。この概念が存在すれば、チームのメンバーは積極的に発言し、失敗を恐れずに新たな挑戦ができるため、イノベーションが生まれる。対照的に心理的安全性が欠如した組織では、不祥事が発生することも。
非常に難しい話だが、「給料」だけでは「外発的動機付け」にしかならない。
もう1つ必要になるのだ。
■ 内発的動機付けの重要性
心理学者ハリー・ハーロウは、サルの檻にパズルを入れてみた。
すると何も報酬を与えないのに熱心に楽しそうにパズル解きに取り組んだという。
ハーロウはこの現象に「内発的動機付け」と名付けた。
⇒ 自己選択がやる気を高める。
⇒ 「自ら学び、やる意欲」を引き出せれば組織は強くなる。
自らの意思で行動することで、達成感や学びへの意欲が持続し、深い満足感を得ることができる。
逆に「報酬・脅し・競争」が内発的動機付けを弱めてしまう。
デシは報酬で内発的動機付けがどう変わるか実験した。
学生を2グループ(報酬のありなし)に分け、1つはパズルを解くと金銭報酬を与える条件、もう1つは報酬を与えない条件で、30分間パズル解きをさせた。
無報酬チームは「パズルは面白い」と思って、休憩時間もパズル解きを続けた。
報酬チームは休憩中はお金がもらえないので、パズル解きをやめてしまった。報酬があることで、逆にパズル解きの面白さを感じなくなったのである。
ちなみに、「パズルが解けないと罰する」実験もあった。
こちらの場合は明らかに作業効率が落ち、内発的動機付けも弱まってしまった。
アプラハム·H·マズロー 著『完全なる経営』
「働く人の無くならない不満を嘆くのではなく、その不満の質みたいなものが向上しているかに着目すべき」
どんな仕事にも不満や欲求はあるのだから、それを高次元の不満にしていこうという考え方はとても素晴らしい。
■ 自律性と有能感の役割
矛盾するかもしれないが、報酬が役立つ場面もある。
それは「楽しさと達成感」である。
「自分はこの仕事をこなせる力がある」という「有能感」である。
この有能感は、誰でもできる仕事では得られない。
自分の能力を最大限に発揮し、達成した時、初めて得られる。
そしてこの有能感に、「この行動は自分が選んだ」という「自律性」が伴えば、大きな満足が得られ、仕事の成果もあがる。
自律性と有能感が両方必要になる。
⇒ 自律性と有能感が成長の鍵である。
⇒ 内発的動機付けを引き出す組織作りが必要。
自分の能力を信じ、自由に選択できる環境が、内発的動機付けを最大限に引き出し、持続的な成長を促す。
報酬や脅しに頼らず、各個人が自己決定できる場を整えることで、組織全体の生産性と成長力が向上する。
『エクセレント・カンパニー』や『ビジョナリー・カンパニー』で紹介される超優良企業は、組織として社員の内発的動機をうまく引き出している。
シーナ・アイエンガー 著『選択の科学』
自己決定感が人生を豊かにする鍵であることが明らかにされた。
「自分の仕事の采配度」が低い社員はストレスは高い。
低職位でも「自分は仕事の自由度を持っている」と考える人は健康だった。
選択肢を持つことで得られる自由と責任感が、幸福度や健康状態を向上させる。
M. チクセントミハイ「フロー体験―喜びの現象学―」
フロー体験は何かに夢中になって他のことを忘れる状態のこと
⇒ フローは幸福感と自己成長を促す。
まとめ
✅ 外発的報酬は内発的動機を阻害する。
✅ 自律性と有能感が成長の鍵である。
✅ 自己決定の環境が個人と組織の発展を促す。
⇒ 自律性こそが成長の扉である。
⇒ 管理と統制で、人は学ばなくなる。
とはいえ、「人を伸ばす」とは、この言葉に集約できるだろう。
出典:漫画『バトルスタディーズ』(BATTLE STUDIES)
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれる。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆