• 投稿日:2025/01/18
  • 更新日:2025/10/01
伝説のビジネス書「エクセレント・カンパニー」に学ぶ:成功する企業が持つ8つの特質

伝説のビジネス書「エクセレント・カンパニー」に学ぶ:成功する企業が持つ8つの特質

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シロマサル@本の要約:ほぼ土曜日週1投稿

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要約
1983年発行の「エクセレント・カンパニー」は、米国の超優良企業75社の成功要因を分析し、経営哲学を8つの特質としてまとめた一冊。不況の中でも挑戦を重視し、顧客志向を徹底する経営手法が紹介されている。現代でも企業の基本原則として活用可能な内容である。

初めまして!シロマサルです。

知ることで、人生はもっと楽しくなる!

今回はトム・ピーターズ/ロバート・ウォータマン著「エクセレント・カンパニー」1983年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。


著者:トム·ピーターズ/ロバート·ウォータマン

ピーターズはアメリカの経営コンサルタント。コーネル大学を経て、スタンフォード大学でMBA、博士を取得。豊富な知識とビジネス現場情報に基づいた鋭い問題提起と解決法、その先見性と独創性は常に高い評価を受けている。ウォータマンはスタンフォード大学でMBA の学位を得て、マッキンゼー社に入社。経営関係の執筆のほか、スタンフォード·ビジネス·スクールなどの客員講師を務めた。


ちなみにサムネイルの本は2003年版のもの。

1983年版は図書館の方が見つかるだろう。


00000.png✅ 超優良企業は8つの特質で成功を維持。

✅ 顧客志向と自主性が鍵。

✅ 人材育成と生産性向上が重要。


1982年。米国企業は優秀な日本企業に追い込まれ低迷し、不況にあえいでいたが、そんな中でも超優良企業はあった。

0000000.png210.png世界初の"人材戦略"の教科書:ハーバード・ビジネススクールテキスト

アメリカはベトナム戦争の挫折をきっかけに、70~80年代に入ると日米関係は政治、経済の両面で良くなかった。

危機感をもったハーバード・ビジネススクール精鋭の教授陣がつくった教科書。


205.pngジャック・コヴァート著『アメリカCEOのベストビジネス書100』

戦略の章で、ビジネス書の進化の歴史の中でターニングポイントであり、最初に推薦する書籍と絶賛されている。


冒頭では、ゴルフにたとえられている。

ゴルフにたとえれば、達人の研究です。
どうやって達人になるのかも大切ですが、一方達人はなにを考え、どのような特長をもっているのかを研究することによって、われわれの平素の努力に一定の方向性をもたらしてくれるのではないか、と考えたのです。

トム・ピーターズ/ロバート・ウォータマン著「エクセレント・カンパニー」


著者たちはマッキンゼーのコンサルタント。

米国超優良企業75社を選び面談調査、超優良企業は平凡な人たちから非凡な力を引き出していることを明らかにした。

本書に取り上げられている会社は現在でも存在しているものが多い。

0000.pngボーイング、ウォルマート、3M(スリーエム)、HP(ヒューレット・パッカード)、P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)等


著者はこれらを8つの特性としてまとめている。

❶行動の重視
❷顧客に密着して学ぶ
❸自主性と起業家精神
❹人を通じての生産性向上
❺価値観に基づく実践
❻基軸から離れず、分からないことには手を出さない
❼シンプルな組織・適正な社員数
❽厳しさと、穏やかな面も同時に持つ

この特性を持つのが、エクセレント・カンパニーである。


本書は超優良企業がどう考え、行動しているかを解き明かし、米国企業の経営を大きく変えた一冊である。


超優良企業、特にそれらが顧客とどのように互いにかかわりあっているかを観察していて、私たちが特に強く印象付けられたのは、それら企業にはある種の強迫観念が常に見られるということだった。それは特に、品質・信頼性・サービスなどを理不尽とも言えるほど重視する形で現われる。

トム・ピーターズ/ロバート・ウォータマン著「エクセレント・カンパニー」


今回あらゆる本の引用が出てくるが、この本が源流であるからに他ならない。


まさに、ビジネス書の進化の歴史の中でターニングポイントであり、この黄金法則は現代でも通用しているから恐ろしい。


エクセレント・カンパニー 8つの特性

❶超優良企業の行動重視

「大怪我しない失敗を最速で繰り返せ。」とリベシティでは言われている。

現代に通じる「ベストフォーム」(理想形)は既にこの本の中で書かれている。

超優良企業は「やってみよ! ダメなら直せ! 試してみよ!」を実践し、多くの試行を通じて学習を重ねていく。


そして、人数は7人前後が良い。

超優良企業では、生産性改善や新製品開発のチームは通常5人から10人ほどだが、学術的研究によれば多くの場合、グループの最適規模は7人前後とされている。

トム・ピーターズ/ロバート・ウォータマン著「エクセレント・カンパニー」


これは、スティーブン・P・ロビンス著『新版 組織行動のマネジメント』2009年発行でも証明されている。

リンゲルマン効果:参加人数の増加に伴って一人一人の課題や業務の遂行量が減少する現象のこと。社会的手抜き、フリーライダー現象とも呼ばれる。


多すぎれば、誰のせいでもない能力低下が起こる。

しかし、少なすぎれば業務はできない。

そんな絶妙なラインが7人前後である。

0.png⇒ まずは迅速な行動と実験が成功の鍵。

失敗を恐れず、迅速に行動する姿勢が成長を支えるのは黄金の法則である。


❷顧客から学ぶ姿勢

超優良企業は目先の収益にとらわれず、徹底的に顧客志向である。

とにかく「収益は顧客志向の結果」と考え、徹底的にユーザーに耳を傾けていた。


0000000.png248.pngルイス・V・ガースナー『巨象も踊る』

247.pngハワード·シュルツ著「スターバックス再生物語」


上記の2社はこの姿勢を忘れた時に破綻に追い込まれ、徹底的に顧客志向を取り戻した時に復活した。

超優良企業は顧客の声に耳を傾け、サービスや製品の改善に活かす。

顧客満足を最優先に考えることで、長期的な信頼と収益を築ける。

0.png⇒ 徹底的な顧客志向が収益を生む。


❸自主性と起業家精神の育成


⇒ 社員の自主性が組織の力になる。


失敗も成長の一部と捉え、革新を推進する。

0000000.png184.pngハロルド・ジェニーン著「プロフェッショナルマネジャー」

リーダーシップは「部下に細かく指示して動かすこと」ではないとしている。

⇒ 戦略を示すのがリーダー、実行は現場で考えさせよ。


172.pngエイミー·C·エドモンドソンの『恐れのない組織』

従業員は失敗を恐れずに新たな挑戦をし、意見を自由に述べられることが組織文化として重要である。

0.png社員に「何をやるか」「どうやるか」の自主性を持たせ、挑戦を奨励することが、多くのリーダーを育てるコツである。


❹人を通じての生産性向上

人がアイデアを生む最大の資産と考えている。

人を動かす秘訣はただ1つ。信頼することだと語る。

超優良企業を眺めるとき、私たちはそこにいくつかの驚くほど共通した要素が見られることに気づく。
第一には、使われている言葉である。
人間尊重の組織体で使われている言葉には共通点が多い。
(中略)
ひとつの(拡大)家族であると見ている。

トム・ピーターズ/ロバート・ウォータマン著「エクセレント・カンパニー」


0000000.png228.pngダニエル・ゴールマン著『EQ こころの知能指数』

EQ(Emotional Intelligence Quotient)とは、人の感情を思いやり、自分の感情をコントロールして動機づける力のこと。

企業文化としてEQを持ち合わせている会社は人材の力を引き出す能力が共通して高かった。


⇒ 信頼が人材の力を引き出す。


❺価値観に基づいた実践

実際に手を動かし実践する。

著者が万能薬的なアドバイスとして提案している言葉がある。


自社の価値体系を確立せよ。自社の経営理念を確立せよ。
働く人の誰もが仕事に誇りを持つようにするために、何をしているかを自問せよ。
10年20年先になって振り返ってみるとき、満足感を持って思い出せることをしているかと自問せよ。

トム・ピーターズ/ロバート・ウォータマン著「エクセレント・カンパニー」


0.png⇒ 核となる信条が一貫性を保つ。

超優良企業は明確な価値観を持ち、それに基づいて行動している。

首尾一貫した実践が組織全体の統一感を生み出し、安定した成長を支える。


リード・ヘイスティングス、エリン・メイヤー共著の「NO RULES 世界一『自由』な会社、NETFLIX」では…。

「ネットフリックスの利益を最優先する」というガイドラインを決め、社員が自分の判断でお金を自由に使えるようにしている。

また、標語は「相手に面と向かって言えることしか、口にしない」とされている。

ネットフリックスの社員は互いに率直な意見を伝える文化を持つ。

結果、2020年時点でのユーザー数は2億人を超え、売上は2.6兆円を超えている。


❻基軸から離れない経営

分からないことには手を出さない。

超優良企業は、自分が分からないことには両足を突っ込まない。


どんな形であれ「基本に戻る」という動きは、私たちが検討した超優良企業の研究によれば、実際”朗報”なのである。

トム・ピーターズ/ロバート・ウォータマン著「エクセレント・カンパニー」

ここでいう”朗報”は、基本の分野を活かすために事業を手放すことについて必ずしも悪手ではないことの意味で使われている。


0.png⇒ 分野を絞り、基本に忠実。


新たな挑戦をする際も、基本から逸脱せず適応する。

原則なき多角化を避け、確実な成長を目指す姿勢が成功をもたらす。


❼常にすっきりと単純化

会社が大きくなると複雑になり、本社が肥大化し、管理作業が増える。

各部門を完全に独立した形で保つこと。
製品の開発、財務、人事を含めて、主要なすべての機能を各部門に持たせる。

トム・ピーターズ/ロバート・ウォータマン著「エクセレント・カンパニー」

0.png⇒ シンプルイズベスト。

これが組織の複雑化を防ぐ努力。


組織を単純に保ち、管理の効率化を図っている。

少人数の本社で流動的な組織運営を行い、柔軟な対応を可能にしている。


橘玲著『働き方2.0 vs 4.0 不条理な会社人生から自由になれる』では、市場を支配できる巨大企業が、なぜすべてを自分たちで行なわないのか?という問いに対してこのような回答をしている。


⇒「あらゆる取引にはコストがかかるから」
(主なコストは検索・交渉・契約・監視)

これが個人やフリーランスで狙うべき場所となると語っている。


また、アルフレッド・D・チャンドラー・ジュニア著『組織は戦略に従う』で紹介されるアメリカの4社はまったく違う業界でビジネス環境も異なる。

4社は個別に試行錯誤の末、「ひとつの事業はひとつの事業部に任せ、トップは実務に関わらない」という事業部制組織に行き着き、その後の成長につなげた経緯が書かれている。


❽厳しさと穏やかさの両立

これらの取り組みを実践することで、厳格に管理しながら、一方で社員が自主性と起業家精神を発揮できるような環境を維持している。

最後の特性は今までに述べたことの総まとめであると語っている。

0.png⇒ 大事なのは厳格な管理と自主性のバランス。


厳しく管理しつつ、社員が自主的に行動できる環境を整えている。

基本的な考え方を守りながら、柔軟な対応も可能にしている傾向にある。

0000000.png176.png出口治明著『座右の書「貞観政要」―中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」』

1400年前に中国で書かれた帝王学の名著でも、リーダーの振る舞いが部下の振る舞いを決め、組織に影響を与える。と語る。

ゴマすりだらけの組織は徐々に腐っていく。


「君は船なり、人は水なり。水は能く船を載せ、亦能く船を覆す」 訳:「君主は舟で人民は水だ。水は舟を浮かべ前に進む。一方で舟を転覆させるのも水だ」

貞観政要(じょうがんせいよう)


歴史ではまったく同じことは起こらない。

しかし、歴史を知れば、似た出来事に見舞われたときでもうまく対応できる。


この8つの特性、黄金の原理、原則の共通点を持ってこそ「超優良企業(エクセレントカンパニー)」と成長していく。


まとめ

リベシティ用サムネ (11).png✅ 超優良企業は8つの特質で成功を維持。

✅ 顧客志向と自主性が鍵。

✅ 人材育成と生産性向上が重要。


⇒ 基本を守り、柔軟に対応すること。


ちょ~蛇足

テレビ東京系列で放送されている番組「知られざるガリバー~エクセレントカンパニーファイル~」のタイトルの元ネタでもある。

TVer(ティーバー)でも見れる。

日本には世界に誇る、知る人ぞ知る企業を数多く教えてくれる。

日本の高配当個別株の際、参考にすることもある。

自分の良く知らない分野や業種の理解に役立つぞ。


知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。

是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!

見ていただきありがとうございました!😆_.png

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