- 投稿日:2025/10/11
初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回は田内学著『お金のむこうに人がいる』2021年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:田内学
1978年生まれ。東京大学工学部卒業。同大学大学院情報理工学系研究科修士課程修了。2003年ゴールドマン・サックス証券株式会社入社。以後16年間、日本国債、円金利デリバティブ、長期為替などのトレーディングに従事。日本銀行による金利指標改革にも携わる。2019年に退職してからは、佐渡島庸平氏のもとで修行し、執筆活動を始める。
他の書籍
田内学 著『きみのお金は誰のため』2023年発行
ビジネス書が難しいと感じる方はこちらがおすすめ。
わかりやすく「小説」として読めるし、同じことを伝えようとしている。
「多くの人がお金のために働き、お金に感謝する。年収が高ければえらいと思い、貯金が多ければ幸せやと感じる。生活を支えるのはお金やと勘違いして、いつしかお金の奴隷に成り下がるんや」
田内学 著『きみのお金は誰のため』
✅ お金の正体は「誰かの労働」である
✅ 経済は人間中心で考えるべきだ
✅ 幸せとは「豊かに支え合うこと」である
「お金って何のためにあるの?」
「もっと稼がなきゃと思うけど、どうすれば幸せになれるの?」
そんな疑問を抱く現代人に向けて、今回は『お金のむこうに人がいる』を紹介。
お金を「チケット」として捉え、消費の背景にある「誰かの労働」に目を向けることで、お金に縛られない生き方と、社会との新しいつながり方が見えてくる。
クイズ番組にしても『頭の体操』にしても、「問題」を出されるとつい考えたくなってしまう。それなのに、「経済の問題」は専門家任せにしたくなる。
これはなぜだろう。経済の問題は自分にも影響があるはずなのに。
田内学著『お金のむこうに人がいる』
お金の正体とは「労働チケット」である

私たちは顧客に喜びを与えるサービスを提供するのがベストなのは承知している。心の底から知りたいのは、顧客を喜ばせるべきかどうかではなく、どうやって喜ばせるかだ。
田内学著『お金のむこうに人がいる』
⇒ お金は「未来の労働」の約束である。
⇒ お金は”人の役に立つことに価値がある”。
お金そのものに価値はなく、それを通じて「誰かに働いてもらう」ことこそが本質である。
借金や税金、社会制度や政治も「誰かに働いてもらう」ための仕組みにすぎない。
税金とは「雲と雨」の循環装置と同じだ。
税はお金(水)を一時的に蒸発させ、必要なところに再分配する仕組みである。
この視点は、政府の役割や財政赤字への理解を一変させる。
お金の歴史は、貝殻や石などの「価値があると思われたもの」から始まった。
しかしそれは「信じる力」があったからこそ機能した。
現在、お金以外にもポイントや電子媒体といった単なる画面上の数字に「信用」が組み込まれている。
人々が「これなら価値を託せる」と信じたからこそ、物々交換から通貨、電子経済への移行が起きた。
ポイントはお金と同等の交換が可能であり、お金は同等の労働(商品・サービス)と交換できる。
だから、ポイントは同等の商品やサービスと交換できる。
つまり、お金の裏には「人を信じる力」が宿っている。
消費とは、誰かの過去の労働を享受し、未来の労働を予約する行為だ。
無人島に自分だけでお金があっても、交換先がないのなら、意味がない。
金のために労働があるわけではなく、労働のために金がある。
あなたが消費しているのは、お金ではなく、誰かの労働だ。

レイチェル・ボッツマン著『TRUST(トラスト)世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか』
「信頼」と「信用」はどちらも「信じる」という意味合いを含む。
「信用」は過去の行動や実績に基づいて評価され、「信頼」は未来の行動や人柄に対する期待を含んでいる。
「信頼」は制度から個人・プラットフォームへと移動し、信頼は得難く失いやすいものである。
なぜ銀行も政治家も信頼できないと言いながら、まったくの他人を信用して車に乗り込むことができるのだろう?
レイチェル・ボッツマン著『TRUST(トラスト)世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか』
私たちは過去と未来に翻弄されながら、今を生きている。
価格は「働きたくなさ」の指標

モノを手に入れる力を持つお金、価値のモノサシとしてのお金を過信してはいけない。 お金への過信が消えると、人と人との関係が見えてくる。
田内学著『お金のむこうに人がいる』
⇒ 高価格は、本来、労働の嫌悪度を反映する。
「価格の高さは、『どれだけ働きたくないか』を表している。」
人は損失を回避する傾向があり、状況によってその判断が変わるから値段が変わる。
あなたはたった1人でスマートフォンを「20万円」以内でつくることができるだろうか?
「君に1000万払うよ!」と大富豪を満足させるだけのサービスを創造できるだろうか?
もしくは、たった1人で銀行から「100億円」借りることができるだろうか?
個人の生涯賃金が2億~3億ぐらいと考えると、個人で「月1000万」をいきなり稼ぐのは高いリスクがある。
個人の契約で100万単位までなら、契約した個人がいなくなったり、亡くなられても何とかなる。
だが、大金を伴う大きな契約は個人だけでは不可能で、法人やチームでといった「複数の人間や法的な人格」で責任を引き継げる仕組みが必要になる。
「銀行から100ドル借りているなら、それは当人の問題だ。1億ドル借りているなら、それは銀行の問題だ。」
J・ポール・ゲティ(アメリカ合衆国の実業家であり「石油王」と称された大富豪)
お金の正体とは「労働チケット」なのだから、多く貰えれば、商品を入手するのにより働かなくて済む。
多くお金を貰おうとすると、用意するのにかかった金額(原価)で商品を売ることはできないと考える。
本来であれば、誰かが嫌がる仕事ほど高額になる。
意外かもしれないが、私も、あなたも、誰にでも代役がいる。
代役がいるからこそ、嫌がる仕事でも給料が上がらない。
何せ、会社も国家自体も代わりがまだまだいくらでもいる。
その中でトップの企業や国家は、他の人が働かないで手に入れられる商品を「お値打ち」に努力し続けている。
結果、「エクセレント・カンパニー」や「ビジョナリー・カンパニー」になっていく。
逆に、喜んで働く人がいれば価格は下がる。
この視点は、仕事の価値や報酬のあり方を再考させるだろう。

ジェレミー・リフキン著『限界費用ゼロ社会』
商品やサービスはどのようなものであれ、使い倒せば、使い倒すほどかかるコストが低くなるものである。
この対象は人間も変わらない。
ただ働くだけでなく、事業者の目線になると見えてくるのは、「お値打ち」で純利益が出る状態を作り出すことが「働かなくて済む」秘訣である。
経済活動においては、自然界の資源を経済的価値に変える過程で、エネルギーの正味の増加はけっしてなく、有効エネルギーの損失あるのみだ。 唯一の疑問は、いつそのつけが回ってくるか、だ。
ジェレミー・リフキン著『限界費用ゼロ社会』
その過程で、人間の不合理さがいかんなく発揮されることで、制度の歪みや格差、問題が積み重なり、私たちは「情動」に苛まれ、技術や価値観の変化で対立し、政権の交代や他国との戦争(経済戦争)や協力につながっていく。
しかし、この仕組みは個人を尊重しない。
「人類」を尊重する仕組みだ。
だから私たちは情動に苛まれる。
何とよくできた仕組みだろうか!
「お金中心」から「人中心」へ:経済の再定義

ゴールドマン·サックスという資本主義ど真ん中の会社で働いてみて僕は確信した。お金は偉くない。
そして経済は、お金ではなく人を中心に考えないといけない。
田内学著『お金のむこうに人がいる』
⇒ 幸せは数値では測れない。
⇒ 経済指標の裏に「人の営み」がある。
⇒ 預金は誰かの借金でもある。
⇒ 今の豊かさは過去の贈り物である。
そもそもGDPや預金残高で豊かさを計ってはいけない。
今私たちが使っているインフラや技術は、すべて誰かの過去の努力の蓄積である。
今、貧困や貧乏はあっても日本で餓死する者はそういない。
(あくまで件数であることも忘れてはいけない。)
効率と蓄積は「贈与」であり、未来への責任として、今の労働もまた贈与になりうる。
真の豊かさとは「支え合いの循環」があること。
昨今話題になる貿易黒字(赤字)は「労働の貸し借り」といえる。
外国に働いた分の貸しが「黒字」であり、今の資源輸入はその信用の上に成り立つ。
また、個人の貯金は社会の借金と表裏一体である。
日本は2000兆円を超える預金大国であり、政府(国・地方)は累計1300兆円を超える国債などの借金大国でもある。
国民が銀行に預けた預金が、銀行経由で国債の購入資金となり、結果として政府の借金として現れる。
消費・投資意欲の低下の結果、お金が銀行に貯まる。
政府の負債(借金)は、国民や企業、銀行の預金等の金融資産の裏返しだ。
誰かが「貯金」を増やすと、経済全体で見れば「どこかが借金」を増やさなければならない。
日本は「民間貯蓄が多く」「政府負債も多い」という不思議な経済構造で、「預金大国=借金大国」という事実は、マクロ経済への理解を深める上で欠かせない。
だからこそ、国債で賄えばいいという派閥とこの関係性が崩れた時の大きなリスクを恐れている派閥が対立し、減税か給付かでもめているわけだ。
「純負債」は他国と比べ優良とする見方もあるが、自分たちの「家計」で考えればよくわかる。
負債は負債であり、減ることはない。
そして、お金をコピーしたり、大量にお金を発行しないのは、お金が信頼できなくなると確信しているからにすぎない。
よくよく考えれば変な話である。
なぜ、S&P500や全世界株式の指数は10年といった期間で見ると過去最高の値を更新し続けるのか?
少子高齢化や景気低迷といわれながら、日経平均は4万円を超えているのか?
それは人の役に立つために効率と価値を上げ続けているからに他ならない。
良い企業は純利益を高めて、余剰金を配当金や内部留保、自社株買いに利用している。
これで重ねた「信用」から得た利益を株主に還元する。
その結果、「信頼」の形として株価が上がっていく。
経世済民(けいせいさいみん)とは人間の生活に必要な物を生産・分配・消費する行為についての社会的関係である。
個人、家庭、会社、組織、どのような経済、社会問題も結局は「人」に行きつく。
「傍(はた)を楽(らく)にする」から働くとはよく言ったものである。

エリック・シュミット著『第五の権力 Googleには見えている未来』
2025年、世界人口80億人のほとんどが、オンラインでつながる。 誰もがインターネットへアクセスでき、誰もが世界中とつながり、自由に発言をし、革命を起こすパワーさえも手にできる。
エリック・シュミット著『第五の権力 Googleには見えている未来』
立法・司法・行政・報道に続く新たな権力として、インターネットは個人に情報と影響力を与える一方、国家や企業の力も強化する。
現在はインターネットの普及により、人の役に立つ(悪事が判明する)機会は格段に増えた。
まさに、人と人とがつながるから経済なのだ。
「お金の奴隷」から脱するには
⇒ 自分の労働を社会への贈与と見なそう。
お金は道具であり、目的ではない。
誰かに喜んでもらうために働くという視点が、人生をより豊かにする道を開いてくれる。
正しく働き、正しくお金を使う。
正しく働くとは、3つのルールに従う。
(1)自分自身が買おうと思わないものを売らないこと
(2)尊敬しない人のために働かないこと
(3)一緒に仕事をして楽しい人々とだけ働くこと
正しくお金を使うとは、3つのルールに従う。
(1)過度に浪費しないこと
(2)過度な節約や我慢をしないこと
(3)自分自身がイライラ、不快なものにお金を使わないこと
ちなみにこれは私が勝手に決めた定義である。
この定義が正しいとは思わない。
ただ、生きていくということは、常にある人々を傷つけ、別の人々を助ける。
私たちは、こうした人生の振る舞いをありのままに受け止めるしかない。
ありのままを受け止めることが人間らしさである。
泣き言を言ってばかりではいけない。
泣き言を言って気持ちを整理したら、前に進むのだ。
つまり、「未来をもっと良くするために行動する」ことが、お金に囚われない方法である。

ナシーム・ニコラス・タレブ 著『ブラック・スワン』
ブラック·スワン(黒い白鳥)とは、まずありえない事象のことであり、次の三つの特徴を持つ。 予測できないこと、非常に強い衝撃を与えること、そして、いったん起こってしまうと、いかにもそれらしい説明がでっち上げられ、実際よりも偶然には見えなくなったり、あらかじめわかっていたように思えたりすることだ。 グーグルの驚くべき成功も9·11も黒い白鳥である。
ナシーム・ニコラス・タレブ 著『ブラック・スワン』
お金のない世界は本当に夢物語だろうか?
「ありえない」なんて事はありえない
まとめ
✅ お金の正体は「誰かの労働」である
✅ 経済は人間中心で考えるべきだ
✅ 幸せとは「豊かに支え合うこと」である
専門家が専門用語を使うのは、相手をごまかそうとするときだ。
自分をごまかしながら考える人はいない。
経済の話が難しく感じるのは、決してあなたのせいではない。
田内学著『お金のむこうに人がいる』
⇒ 「お金の向こうに人を見る」ことで、社会のつながりと自分の幸せが見えてくる。
どのような学問や理論も感情も関連しており、全てはつながっている。
これを知ることは、少なくとも私にとって最上の娯楽である。
知ることで、人生はもっと楽しくなるのだ。
さまざまな分野のさまざまな考え方を学び、それらを日常的に活用すべきである。 一部だけ使うのではなく、すべてを使って。
デビッド・クラーク著『マンガーの投資術』
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆
