- 投稿日:2025/08/22
- 更新日:2025/10/09
制度や金融商品に頼らず、シンプルに考える
こんにちは、🌸桜🌸です。
「親が亡くなったあと、この子はどう生きていけるのだろう?」
重度発達障害のある子を育てていると、誰もが一度は考えるテーマです。
制度や金融商品はいろいろ紹介されます。障害者扶養共済、保険、信託、成年後見…。
けれど私は、どれもそのままでは安心できないと感じています。
今日は、その理由と、私がたどり着いた「シンプルな備え方」についてお話しします。
制度や金融商品ラインナップ
障害者年金
下記のページで解説しております。
リンク先にとんでください。
障害者扶養共済制度
・【福祉】障害者扶養共済制度とは?歴史としくみをわかりやすく解説
親が亡くなったあと、子どもに毎月決まった額を支給してくれる制度です。
けれど額は固定で、今のインフレには対応できません。昔は大きな助けだった額も、今は生活の一部にしかならないのです。
iDeCo
本人名義での運用は現実的ではありません。判断が難しいからです。
親が名義で積み立てることはできますが、それなら普通に貯金や投資信託で十分。特別な制度を使う必要はないと感じます。
不動産
子に残したところで、管理や税金でむしろ負担になりかねません。売却や維持の判断が難しいのも大きな問題です。
🌸梅コラム🌸:不動産にまつわる苦い思い出
私には強度行動障害のある叔父がいます。
その叔父の将来を心配した祖父母は、田舎に土地を購入しました。
確か45坪ほどの小さな土地です。
ところが後になって、梅子のママ友のご主人(土地調査の専門家)に不動産屋の名前を告げると——
「そこは高利貸し専門の業者だよ」と言われました。
つまり、祖父母は「障害のある息子のために」と思って買ったものの、実際には二束三文の土地をつかまされてしまったのです。
経済的な“地獄”の始まり
安い土地とはいえ、田舎の土地にも固定資産税は毎年かかります。
さらに草刈り費用も必要でした。
当然、収入のない叔父には払えるはずもなく、結局は私の両親がその出費を背負っていました。
加えて、叔父は精神病院に長期入院していましたが、亡くなる直前まで破壊行動による弁償なども発生していました。
土地の維持費と相まって、家計にとって大きな負担となっていたのです。
私の学び
この経験から、私は強く思いました。
👉 重度発達障害のある梅子には、絶対に不動産を相続させない。
不動産は「財産」というよりも「負債」になり得ます。
売却できればまだしも、田舎の土地は買い手がつかず、持っているだけでお金が減っていくこともあります。
祖父母の「心配して備えたい」という思いは痛いほど理解できます。
けれど、その善意が結果として家族を苦しめてしまったのです。
💡どうしても不動産を残す場合の注意点
もし「不動産しか残せない」「自宅を子に残すしかない」という場合には、次の工夫が必要です。
・売却可能性を確認しておく
→ 不動産屋に査定してもらい、将来本当に売れる物件なのかを把握。
・維持費の見通しをつける
→ 固定資産税・修繕費・草刈り費用などを具体的に試算。
・管理を第三者に委ねる
→ 本人に管理責任を背負わせず、信頼できる親族が引き継ぐ。
資産が大きい家庭なら信託という方法もあるが、費用がかかるため一般家庭には必須ではありません。
できる限り「生前に売却して現金化」しておく方がシンプルです。
🌸 桜からのメッセージ
不動産は、家族の思いが詰まった資産でもあります。
でも「資産」のつもりで残したものが「負担」に変わることは少なくありません。
大切なのは、「残すこと」ではなく「子が安心して暮らせる形に整えて渡すこと」だと学びました。
信託
・【福祉】信託とは?──歴史・仕組み・メリット・デメリットをわかりやすく解説
一見よさそうに見えますが、定期的な手数料がかかります。大きな資産を持つ家庭でなければ、コスト倒れになる可能性があります。
成年後見制度
・【福祉】成年後見制度とは?──歴史・仕組み・メリット・デメリットをわかりやすく解説
一度始めると原則やめられず、自由が利かない。後見人との相性もあり、親として「安心して勧められる制度」だとは思えません。
生命保険
手数料が高い割に、実際に残るお金は少ないことが多い。
「相続税対策」として勧められますが、相続税がかかる家庭はごく一部です。
遺言書
・【福祉】障害者と親亡き後の備え──なぜ遺言書が必要なのか?
公正証書遺言は安全ですが、書き換えるたびに費用がかかります。
仲違いや借金がある家庭なら必要ですが、そうでなければ自筆証書+法務局保管で十分だと思います。
それでも必要な「最低限の備え」
私が考える“親亡き後に最低限必要なこと”は、とてもシンプルです。
1. 現金で残す
• 複雑な商品より、すぐに使えるお金を残す。
2. 遺言書を用意する
• 誰に何を残すか、はっきり書いておく。
• 自筆証書+法務局保管で十分。
3. 生活の希望を書き残すノート
• 好きな食べ物、通わせたい施設、信頼できる人…。
• 法的な効力はなくても、残された人にとって大きな助けになる。
4. 福祉サービスとつながっておく
• グループホームや相談支援など、親がいるうちに顔の見える関係をつくっておく。
🌸梅コラム🌸:どのくらい現金を残せばいいの?
「現金で残すのが大事なのはわかったけれど、実際いくらぐらい用意すれば安心なの?」
そんな疑問を持つ方も多いと思います。
正直に言えば、正解は家庭によって違います。けれど考えやすい目安はあります。
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💰目安の考え方
• 月々の生活費の不足額 × 数年分
例:生活費15万円 − 障害年金7万円 = 月8万円不足
この不足分を「5年分」「10年分」など期間を決めて計算。
• 緊急資金
医療費や施設入居準備など、急に必要になるお金も想定。
目安は100〜200万円。
• 施設利用の有無
グループホームや入所施設に入る予定があるかどうかで必要額は大きく変わります。
💡 まとめると…
• 最低限:500万円程度(不足分+緊急資金)
• 安心ライン:1000万円程度(5〜10年分をカバー)
• ゆとりある場合:2000万円程度(施設利用の初期費用まで含む)
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🙏「そんなに残せない…」と思ったら?
「うちにはそんなにお金を残せない」と思う方もいるでしょう。
でも大丈夫です。
日本にはセーフティネットがあります。
• 生活保護
本人の収入や資産が不十分なとき、生活保護を受けられる場合があります。
障害年金と合わせて受給できるケースもあり、最低限の生活費は保障されます。
• 福祉サービスの軽減制度
グループホームや通所サービスの利用料は、収入に応じて上限が定められています。
「お金がないから利用できない」という状況は基本的に避けられます。
• 自治体の独自制度
医療費助成や、食費・光熱費の補助などがある市町村もあります。
👉 だから「最低限500万円も残せない…」と焦る必要はありません。
大事なのは「自分が残せる範囲で何を準備するか」と「制度にどうつないでいくか」です。
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🌸 桜からのメッセージ
「残す金額が少ない=子どもが困る」とは限りません。
親ができる範囲で用意し、あとは制度や支援の力を借りる。
これが現実的で、そして決して恥ずかしいことではありません。
投資信託についての考え方
「インフレに備えるために、投資信託はどうだろう?」と思う方もいるでしょう。
私の結論はこうです。
子名義ではなく、親名義で運用するならアリ。
親が積み立てて、亡くなった時点で残っている額をそのまま相続財産として渡す。
暴落があれば、そのときの評価額を受け止める。
そう割り切って遺言書に書いておけば、生前贈与にもならず、手数料の高い保険に入る必要もありません。
まとめ
私がたどり着いた答えは、こうです。
・ 難しい制度や商品に頼らない
・ 資産は「現金+親名義のNISA」で残す(インフレ対策)
・不動産を相続させない
・ 遺言書とエンディングノートで意思を伝える
・福祉サービスと事前につながっておく
これなら「安心してすぐに使えるお金」と「将来に備えた価値の守り方」の両方を手にできます。
何よりシンプルで、誰が見ても理解できる形になるのです。
👉 あなたなら、どんな形で「残す資産」を組み合わせますか?
最後まで読んで頂きありがとうございました🙇♀️