• 投稿日:2025/05/24
  • 更新日:2025/10/01
フレデリック・ラルー著「ティール組織」:個が輝く組織:ティール型経営の未来

フレデリック・ラルー著「ティール組織」:個が輝く組織:ティール型経営の未来

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シロマサル@本の要約:ほぼ土曜日週1投稿

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要約
従来の管理型組織の限界を超え、個々が自律し主体的に動く「ティール組織」が注目されている。本書は、組織の発展段階を5つに分類し、リーダー不在の成功事例を紹介。個の力を最大限に引き出し、成果を生む新たな組織の形とは何か?従来のピラミッド型組織から脱却したいビジネスパーソン必見の一冊。

こんにちは、シロマサルです。

知ることで、人生はもっと楽しくなる!

今回はフレデリック・ラルー著「ティール組織」2018年発行を要約します。管理型の組織から自律型の組織へ──この変化を実現する方法を探ろう。


著者:フレデリック・ラルー

マッキンゼーで10年以上にわたり組織変革プロジェクトに携わったのち、エグゼクティブ・アドバイザー/コーチ/ファシリテーターとして独立。2年半にわたって新しい組織モデルについて世界中の組織の調査を行い、本書を執筆。12カ国語に翻訳され20万部を超えるベストセラーとなる。


00000.png✅ 組織は進化するものである。

✅ 「管理」から「自律」へ移行する時代。

✅ リーダー不在でも成果は出せる。


私たちは自信をもって、「自分の仕事は楽しい」と言えるだろうか?

日本人の仕事に対する幸福度は、世界的に低水準にある。

参考外部サイト(ダイヤモンド・オンライン)
日本人の仕事満足度「わずか5%」で世界最低!賃上げの他に必要な改革とは?


シーナ・アイエンガー著『選択の科学』にも自己決定感が人生を豊かにする鍵であることが明らかにしている。

「自分の仕事の采配度」が低い社員はストレス値が高い。


現代が抱える気の遠くなるほどの諸問題を克服しようとすれば、新しいタイプの組織、つまり今よりも目的意識の高いビジネス、人間味にあふれた学校、生産的な非営利組織が必要となろう。

フレデリック・ラルー著「ティール組織」


「誰もがやりがいを持ち、血が通った新しい組織はないか?」


著者のラルーは、様々な業界で社員が自分の仕事を天職と考え、組織の高貴な目標達成のために働く組織はいくつかの共通点があることを突き止めた。

ラルーはそんな組織を進化型(ティール)組織と名付け、本書で紹介している。

590ページもある分厚い本。


組織の進化は5段階

著者のラルーは組織の発展を5つの段階に分類した。心の病と脳の理解 - visual selection (18).png(ちなみに原初の組織体系として無色【血縁中心の小集団】とマゼンタ【部族レベル】がある。)

❶レッド(衝動型組織)
力が支配する組織(例:マフィア、ギャング、オオカミの集団)
短期的な命令と服従の関係

❷アンバー(順応型組織)
階級制度を持つ組織
(例:軍隊、官僚組織、小国家)
上意下達の指示系統

❸オレンジ(達成型組織)
目標達成と成果主義を重視
(例:多国籍企業、機械)
イノベーションと競争を推進

❹グリーン(多元型組織)
従業員の価値観やチームの協力を重視
(例:家族的な企業)
ミッションや理念に基づいた経営

❺ティール(進化型組織)
自律分散型の組織運営
階層的なマネジメントを廃し、個人と組織の進化を重視
お互いの信頼と自律の下で動く組織

二一世紀の最も輝かしい躍進は、テクノロジーではなく、人間とは何か、というコンセプトを拡大することによって成し遂げられるだろう。

フレデリック・ラルー著「ティール組織」

0.png⇒ 組織は管理型から自律型へ進化する。

ティール組織は「みんなが自分で考えて動くことができる会社」である。

「社長がいて、部長がいて、みんなに命令をする」という仕組みではなく、ティール組織は「みんなで話し合って決める」仕組みである。


全員が正しく、道理をわきまえた人達だけで活動できれば、管理はいらないということである。


ティール組織の特徴

今日、リーダーシップは注目されすぎている。
その主な理由は、ビジネス成功の鍵がリーダーにあると広く信じられているからだ。

フレデリック・ラルー著「ティール組織」

0.png⇒ 信頼と自律が組織を動かす。

一般的なルールとしては、組織の意識はそのリーダーの意識レベルを越えられないと言えそうだ。

フレデリック・ラルー著「ティール組織」

組織のレベルは❶経営トップと❷組織のオーナーの意識レベル以上にはならない。

・組織の運命を左右するもの
❶経営トップ
❷組織のオーナー


・組織の運命をあまり左右しないもの
❶業種は重要ではない。営利、非営利も関係ない。
❷ティール型組織の原則や習慣は組織の大小に関係ない。
❸地理的条件や文化的背景も関係ない。

従来のヒエラルキーを排除し、社員が意思決定権を持つ。


ビジョナリー・カンパニーは、すぐれた製品や戦略をつくるよりも、すぐれた組織をつくり上げることに、より多くの時間を使っている。

ジム・コリンズ「ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則」


権限委譲ではなく、最初から全員が主体的に行動する組織文化が根付いている。

0000000.png204.pngアプラハム·H·マズロー 著『完全なる経営』

マズローの語る「自己実現」は「自分ができる最大限のことをすることで、自分自身らしくなっている状態」である。

自己実現を目指す人たちで「よい企業」をつくり、「よい企業」が「自己実現を目指す人たち」を生み出す。

「自己実現とは程度の問題であり、小さな積み重ねの1つ1つである」

アプラハム·H·マズロー


非営利の在宅ケア組織:ビュートゾルフ

original.png00.png「ビュートゾルフ」はオランダ語で、地域看護、ご近所ケアといった意味。


オランダでは、在宅ケアは自営業の看護師が提供する。

しかし患者から「知らない人が玄関に現れる」「病歴を毎回説明するのはイヤ」と大不評だった。


そこで、オランダの在宅ケア企業ビュートゾルフは、リーダー不在のチーム制を採用した。

意思決定は看護師チームが担い、結果的に医療費削減と高い患者満足度を達成している。

「ビュートゾルフ」の概要
❶1チーム看護師10〜12名で、担当地域にいる50名の患者を受け持ち、チームがすべてを決める。
❷リーダーはおらず集団で決める。
❸どの患者を受け容れるか、スケジュール管理、業務管理、オフィス賃貸、人材募集も、チームで決める。

結果、介護時間は40%減、入院数3分の2、入院期間も短縮して医療費削減に貢献している。

患者が人生最後の数年に受ける精神的・人間関係的な支えも、見えない成果である。

看護師の欠勤率は60%低く、離職率は33%減。働き手のモチベーションは高い。

参考資料ビュートゾルフ

参考外部サイト管理職が一切存在しないのに急成長 オランダのビュートゾルフはなにが凄い?

参考外部サイトティール組織におけるチームコーチ事例3選


⇒ 看護師が組織を運営している。


しかし、この仕組みは誰も責任を取らない無責任状態になるのでは?🤔

0.png⇒ 「ビュートゾルフ」では必ずメンバー全員が、効率的な意思決定をするスキルとテクニックを研修で学ぶ。

組織にマネジャーはいないが「地域コーチ」がいる。

「地域コーチ」には意思決定権限はなく、売上目標もない。

ただ、様々な問いをぶつけ、チームの能力を引き出す手伝いに徹する。

参考資料

マーシャル・ゴールドスミス著「コーチングの神様が教える『できる人』の法則」

エリック・シュミットほか著『1兆ドルコーチ』


ティール型組織には営利、非営利も関係ない。

もう一つの事例を紹介しよう。


自動車部品メーカー:FAVI(ファビィ)

a4a66af5-29a8-476e-9046-4608612a73c9.pngFAVIは欧州の自動車用変速機製造会社である。

元は普通のピラミッド組織の製造会社だった。

新CEOが就任すると顧客グループ別に特化した21個の自主運営チームに組織を変えた。

FAVI(ファビィ)の概要
1チーム15〜35名。
人事・企画・技術・IT・購買などのスタッフ部門は閉鎖し、人員は各チームに異動した。
各チームの最優先は「顧客の要望に応えること」
セールスは売上目標を持たない。
セールス担当のモチベーションは、自分のチームの仕事を受注すること。
「金額の注文ではなく、何人分の注文を受けたか」で考える。
複数チームの案件は、プロジェクトチームをつくって対応する。

変速機で市場シェア50%。

高品質で「過去25年間、納期遅れゼロ」という記録を達成している。

給与は業界平均をはるかに上回り利益率も高く、離職率はゼロだという。

「FAVIの労働環境にいると、他社の工場に戻ることは考えられない」と従業員が話すほど、モチベーションも高い。

0.png⇒ 100%の自由時間で成果を出す。

グーグルには、技術者が2割の時間を自由に使ってよいという「20%ルール」があるが、各々が100%の自由時間を最大限に生かしている。

その結果、売上目標なし、管理職なし、それでも25年間納期遅れゼロという驚異的な実績を誇っている。

参考外部サイトファビィ:指示命令形の組織の変革ストーリー


ちなみに、FAVI(ファビィ)も完全ではない。

ドリルが盗まれたことがあった際、CEOはメッセージを倉庫に貼った。

「皆さんご存じのように、当社では盗んだ人は解雇されます。これはバカげた行為です」

その後、盗難事件は一切起こっていないという。

ティール組織を目指すために

進化型組織が従来の組織と違うのは、「セルフマネジメント」「全体性の重視」「存在目的があること」の3点であると語る。

❶セルフマネジメント(自主経営)

→ 上司がいなくても、組織がうまく動く仕組み

メリット
✅ スピーディーに決断できる
✅ 現場の声が直接反映される

デメリット
❌ すべて自己管理なので、向いていない人もいる
❌ まとまりがなくなる可能性がある


❷全体性の重視(ホールネス)

→ 「仕事の顔」と「プライベートの顔」を分けなくてよい

メリット
✅ 心理的安全性が高く、ストレスが少ない
✅ 創造的で自由な発想が生まれる

デメリット
❌ ルールがないと、メリハリをつけるのが難しい
❌ 全員がこの働き方に適応できるとは限らない


❸存在目的がある(進化する目的)

→ 会社の目的は「お金を稼ぐ」だけではなく、「社会にどう貢献するか」が大事

メリット
✅ 社員がやりがいを感じる
✅ 長期的に社会から支持される企業になる

デメリット
❌ 目的が抽象的になりすぎると、具体的な行動に落とし込むのが難しい
❌ すべてのビジネスに適用できるわけではない


ざっくり!ティール組織の課題

・自分で考えないといけない

→ だれも命令しないから、なにをすればいいか自分で決める必要がある。

・みんなで話し合うのがたいへん

→ 先生がいないので、意見が合わない際、どうするかを明確にする。

0.png⇒ 全員が責任を持つ必要がある。

⇒ 階級でのルールではなく、常にメンバーが問い続ける姿勢が必要。


自由と責任は表裏一体。

ティール型は適応できる人材が揃えば機能するが、受け身の人材には不向きである。

強い自律性が求められるので、個々としての完全体ではないことは念頭に入れよう。


0000000.pngリベシティ用サムネ__6_ (2).png藤本シゲユキ著「幸福のための人間のレベル論」

ティール型組織になる、所属するためには自分自身のレベルをあげなければならない。

まずは「気づいている」ステージを目指そう。
人生の幸福度は自分の手の中にある。
結局は原因自分論である。


まとめ

リベシティ用サムネ (40).png✅ 組織は進化するものである。

✅ 「管理」から「自律」へ移行する時代。

✅ リーダー不在でも成果は出せる。


⇒ 組織の未来は、管理よりも自律である。


知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。

ぜひ、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!

読んでいただき、ありがとうございました!😆_.png

おまけ

ティール組織を目指すうえで参考になる書籍があげられている。

既に紹介しているので参考になれば幸いである。

「勝利」を約束しているのはジャック・ウェルチの書籍だけではない。過去20年間で最も影響力のあったビジネス書のベストセラーを取り上げてみよう。
『7つの習慣』、『エクセレント・カンパニー』、『ビジョナリー・カンパニー』、『競争優位の戦略』。現在のリーダーが何を目指すべきか、という考え方がわかる。

フレデリック・ラルー著「ティール組織」

リベシティ用サムネ__5_.pngジャック・ウェルチ 著『ジャック・ウェルチ わが経営 上下』

リベシティ用サムネ__6_.pngスティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』

リベシティ用サムネ__11_.pngトム・ピーターズ/ロバート・ウォータマン著「エクセレント・カンパニー」

リベシティ用サムネ__13_.pngジム・コリンズ「ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則」

リベシティ用サムネ__6_ (1).pngM·E·ポーター『競争優位の戦略』


そしてここまで読んでくれた方にさらにオマケ。

ティール組織での「採用」方法を載せておく。
残念ながら、従来の採用にはウソから始まっていることが多い。

❶面接を行うのは、人事担当者ではなく、将来のチームメイトが行う。
❷スキルや経験を軽視はしないが、姿勢の方を重視する。
❸他の仲間たちと強調していけるか?
❹その人の本当の個性とかかわっていけるかを重視する。
❺やる気のある社員は新しいスキルや経験を短時間で身につける。
❻ティール組織は特定の部署向けに誰かを雇うことはあまりないからである。
❼そして、採用プロセスには多くの時間をかけている。


「私たちは、一緒に旅をする運命にあるのか?」


この言葉が、ティール組織を目指す(入る)には参考となるだろう。

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