• 投稿日:2025/05/03
  • 更新日:2025/10/01
スティーブン・G・ブランク 著『アントレプレナーの教科書』

スティーブン・G・ブランク 著『アントレプレナーの教科書』

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シロマサル@本の要約:ほぼ土曜日週1投稿

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要約
多くのスタートアップは「良い製品を作れば売れる」と考えがちだが、それだけでは成功しない。本書『アントレプレナーの教科書』では、製品開発と並行して「顧客開発」を行う重要性を説く。顧客の課題を発見し、実証し、拡大することで持続的な成長を目指す方法を学べる一冊。

初めまして!シロマサルです。

知ることで、人生はもっと楽しくなる!

今回はスティーブン・G・ブランク 著『アントレプレナーの教科書』2016年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。

00.pngアントレプレナー(entrepreneur)は「起業家」のこと
ゼロから事業を創り出す起業家や事業家を指す。


著者:スティーブン・G・ブランク

シリコンバレーの元シリアルアントレプレナー。

CEOを含めてさまざまな役職で8社のベンチャー企業の創業と立ち上げに携わる。起業家活動から引退後は、アントレプレナーシップ教育に従事。スタンフォード大学、カリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクール、コロンビア大学にて顧客開発とアントレプレナーシップについて教鞭をとる。

00000.png✅ スタートアップには「顧客開発」が不可欠。

✅ 製品開発だけでは成功しない。

✅ 少数の熱狂的な顧客を見つけ、そこから拡大せよ。

大多数のスタートアップが、革新的な製品を作りながらもニーズに応えられずに倒産してしまう。その原因は製品開発のみに集中し、市場作りを怠っていることにある。本書では新規事業の典型的な失敗パターンを回避し、大企業へと成長するための経営手法「顧客開発モデル」を紹介する。

スティーブン・G・ブランク 著『アントレプレナーの教科書』


著者であるブランクもアントレプレナー(起業家)である。

8社の起業に関わり、4社を株式上場させたという「伝説の起業家」の経験が凝縮されたのが本書である。

あなたが会社員であっても、新商品開発はアントレプレナー(起業家)と同じことをやっている。

本書から学べることは多い。


減亡へ統く門は大きく道は広いため、そこを通っていく人は多い。-マタイによる福音書 第7章13節-

スティーブン・G・ブランク 著『アントレプレナーの教科書』

0000000.png287.pngJ・A・シュンペーター著『企業家とは何か』

現代のイノベーション論や起業家論の源流であり、「古典」と呼ぶ以外に表現ができない本。

起業と新規事業についてより深く理解できる。


スタートアップが失敗する理由

1c7fde28-fbaa-4302-9813-713088de19ee.png製品開発だけに頼るな

一言で言うとスタートアップは、顧客と顧客が抱える課題、悩み、そして顧客がしなければならない用事を深く理解し、多くの顧客に製品を買ってもらうための繰り返し可能なロードマップを発見し、そして黒字をもたらす財務モデルの確立に集中すべきである。

スティーブン・G・ブランク 著『アントレプレナーの教科書』

0.png⇒ 顧客のニーズを把握せずに製品開発しても売れない。

⇒ 成功する商品は、顧客が価値を認識して買う。

⇒ 失敗する商品は、誰も価値を認識せず、買わない。


多くの企業は「良い製品を作れば売れる」と考えがちだが、実際には顧客が求める価値を理解していないと失敗する。

顧客開発の重要性はいくつもの書籍で散見される。

例えば、名著であるP·F·ドラッカー 著「現代の経営」において、「企業の目的は顧客の創造である。」と語っている。

「事業が何か」を決めるのはあなたではなく、顧客である。

4つの質問
1.「顧客は誰か」
2.「顧客は何を買うか」
3.「顧客は買うときに何を求めているか」
4.「我々の事業は何になるか」

⇒ まず「誰が買うのか」を明確にせよ。

数多くの顧客ニーズに対応するのではなく、本当に買う顧客が存在するかを検証し、その顧客を開発する必要があるのだ。


顧客開発の4ステップ

心の病と脳の理解 - visual selection (17).png1.顧客発見

⇒ 誰にとって必要な製品かを探る。

市場全体ではなく、特定の顧客層に絞り込み、その層が本当に求めているものを発見する。

参考記事
クレイトン・クリステンセン著『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』(顧客が片付けたい仕事は何か?)


2.顧客実証

⇒ 本当に買うかを検証せよ。

ターゲット層に対して試験販売を行い、実際の購買行動を確認する。

参考記事
❶クリス・アンダーソン「MAKERS 21世紀の産業革命が始まる」
(クラウドファンディング)
❷与沢翼著『お金の真理』(ABテスト)
❸フレデリック・F・ライクヘルド著『ネット・プロモーター経営—顧客ロイヤルティ指標NPSで“利益ある成長”を実現する』(ネットプロモータースコア:NPS)


3.顧客開拓

⇒ 少数の熱狂的な顧客を増やす。

最初に獲得した顧客が満足し、他の潜在顧客へ広がるような仕組みを作る。

参考記事
❶フレデリック・F・ライクヘルド 著「顧客ロイヤルティのマネジメント」(顧客維持率)
❷飯田祐基著「バズる動画・ライブ配信 確実に拡散するしくみ インフルエンサーマーケティングの基本がわかる本」(告広)


4.組織構築

⇒ 成功モデルを再現可能にする。

確立した顧客獲得戦略をスケールさせるための組織と仕組みを整える。

参考記事(組織構築)
ジム・コリンズ著「ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則」

参考記事(ビジネスモデルの改良例)
❶サラ・フライヤー著「インスタグラム 野望の果ての真実」
❷リード・ホフマン著『マスター・オブ・スケール 世界を制したリーダーが初めて明かす 事業拡大の最強ルール』
❸リー・ギャラガー著「Airbnb Story 大胆なアイデアを生み、困難を乗り越え、超人気サービスをつくる方法」


成功事例「エアウィーヴ」

top_main_s04p.pngアスリートに特化した寝具

フィギュアスケートの浅田真央さんが現役の頃、海外から成田空港に帰国してTVカメラに映る時、いつもスーツケースの上にロール状に大きく丸めた荷物を持っていた。

あれはベッドのマットレスの上に重ねる「エアウィーヴ」というマットレスパッドだった。


もともとエアウィーヴ社は、釣り糸などをつくるプラスティック成型機械の製造会社である。

参考外部サイト:日本経済新聞(エアウィーヴ、釣り糸で紡ぐ快眠寝具)


経営が悪化に伴い、「プラスティックの糸を固める技術(コア技術)で、高反発クッション材をつくろう」と考え、法人企業向けにソファのクッション材を作成。しかし、売れなかった。

そこで狙いを一般消費者向けの寝具に切り換えた。

試作品は「いい商品なのに売れなかった」が、アスリートからは何故か大きな反応があった。

「質の高い睡眠がほしい」という切実な課題を発見できたのだ。


そこで、アスリートをターゲットに絞ることに。

エアウィーヴを提供し改良を重ね、2008年の北京五輪で70名の選手が使うようになった。

さらに、地道に意見を聞いて、改良を続け、2010年のバンクーバー冬季五輪では日本選手の7割が使うようになっていく。

0.png⇒ 睡眠の質にこだわるアスリート層をターゲットに。

エアウィーヴは試行錯誤を通して「アスリート」という
❶「顧客を発見」
❷「顧客から学び続けて実証」しながら、
❸「商品を育てる」
❹「顧客開発モデル」を実践し、成長したのである。

0000000.png282.pngデビッド・J・ティース著『ダイナミック・ケイパビリティ戦略』

環境変化を感知し、経営資源を見直すことが重要

例えば、富士フイルムは写真フィルム市場の減少に伴い、培ったナノテクノロジー技術を、新規事業に活用している。


エアウィーヴは「質の高い睡眠を求めるオリンピック選手が使っている」と訴求して、商品を「一流の人が使う寝具」と位置づけ、快適な睡眠を求める消費者に広げていった。


まとめ

リベシティ用サムネ (31).png✅ スタートアップには「顧客開発」が不可欠。

✅ 製品開発だけでは成功しない。

✅ 少数の熱狂的な顧客を見つけ、そこから拡大せよ。


伝説の英雄はたいてい、新しい時代の創始者、新しい宗教の創設者、新しい町の創設者、新しい生活様式の創始者といった何かの創業者である。何か新たなことを始めるには、古きを捨て、新しいことを生み出す可能性のある初期のアイデア、すなわち基になるアイデアを探求しなければならない。

ジョセフ·キャンベル『千の顔を持つ英雄』

⇒ 顧客の創造なしに製品開発しても失敗する。


是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!

見ていただきありがとうございました!😆_.png

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