- 投稿日:2025/03/27
- 更新日:2025/09/29
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はじめに
野食とは?
野外で食料を調達して食べることを「野食(やしょく)」と言います。
野食は
・食に対する理解が深まる
・サイエンスに対する理解が深まる
・地球と自分の繋がりを直に感じられる
・最終的に生きている実感を得られる(食育)
まさしくリベラルアーツ(教養的)な学問です。
趣味として非常にオススメ出来ます。
STEP1 ヤブカンゾウについて調査せよ
今回の主役
今回は野草です。虫より難易度が高いですね。
「ヤブカンゾウ」と言っていますが、別の種類にも触れます。
ヤブカンゾウは中国原産で、日本では帰化植物となっています。河原などに良く生えています。
日本原産の似た品種でノカンゾウと呼ばれる種類もあります。ノカンゾウの若芽もヤブカンゾウと同等に食せます。
今回は、これらカンゾウ類の若芽を食します。旬の時期が短いですが、狙っていきましょう。
参考|Wikipedia ワスレグサ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%82%B0%E3%82%B5
ヤブカンゾウ採取における注意点
野食系では毎度言ってますが採集地の注意点として
✅私有地に無断で入らない
は絶対に守ってください。
今回は河原で採ってきました。
採取時に似た植物
これも野食系では毎度言ってますが
✅よくわからないものは食べない(ちゃんと同定する)
✅自己責任で食べる
は必ず守ってください。
最初に説明したように似た植物でノカンゾウがあります。が、どちらも美味しくいただくことが出来るので、ヤブカンゾウとノカンゾウの若芽を見分ける必要はありません。
若芽ではほとんど見分けはつきませんが、花が咲くとヤブカンゾウは花弁は8枚、ノカンゾウは花弁は6枚なので割と簡単に見分けがつきます。
一応似た植物で
キツネノカミソリとスイセンが挙げられることがあります。個人的にはあまり似ているとは思わないですが、どちらも有毒植物なので要注意です。
葉っぱの緑色が濃く、葉が硬く、より低い位置で葉が分岐していればカンゾウではないです。
図1.スイセンの花 たまにニラ等とも間違えて食中毒があるので注意
食べ過ぎ注意!!
ヤブカンゾウは蕾も食べられます(中華で金針菜と呼ばれる食材)が、食べ過ぎるとお腹を壊す人もいるらしいです。あとは、若芽は体質によってはお腹を下す人もいるようなので、「必ず最初は少量」食べてください。
この辺も野草の難しさであり、一番簡単な野食が虫です。私が常々言っている、「虫は初心者向け」の意味が良くわかるかと思います(※2)。
※2 何故、虫を食べる人が少ないのか不思議でならない。特に自然派の人
は食べない理由はないと思っている。
STEP2 ヤブカンゾウを採取せよ
採取時期
3月~4月初旬ごろです。河原とかに生えてます。7~8月にオレンジの綺麗な花を咲かせるので、前年に目星をつけておくのがいいかもしれません。
大きくなりすぎると硬くなるので、柔らかそうなのを狙っていきましょう。葉っぱの部分も食べられますが、一番美味しいのは白い茎の部分です。
個人的には手のひらサイズ位が、可食部と食味のバランスが良いと思ってます。
図2. ヤブカンゾウが河原に群生している様子
採取地
一番のねらい目は河原です。ほかにも山裾なんかにも結構生えてるらしいです。若芽は見た目が地味なので、地面を這いつくばるように探しましょう。
採取法
ハサミやカッターなどがあったほうがいいですが、素手でも採れなくはないです。とはいえ、カッターあたりを持ってた方がいいと思います。
根元の白い部分が一番美味しいので、少し掘ってなるべく根元から採ります。
採取した後用に、袋か籠でも持って行きましょう。
図3.ちょうどいい大きさのヤブカンゾウ(手のひらサイズ)
FINALSTEP ヤブカンゾウを実食せよ
食べ方は色々ありますが、クセやアクはほとんどなく、若干のぬめりがあります。アク抜きは不要ですが、野食ですので良く洗っておきましょう。
生食も可能らしいですが、あまりオススメはしないですし、私は基本的に野食は火を通しています。どうしてもやりたい人は自己責任で行いましょう。
図4. 食べる直前のヤブカンゾウ
代表的な調理方法は
✅おひたし
✅ぬた(酢味噌和え)
✅油炒め
✅ナムル
あたりです。
今回はバター醤油でソテーにしてます。
ぬたが一番ヤブカンゾウっぽい料理との噂ですが、酢味噌があまり好きではないので、ソテーにしました。
作り方は簡単、ボール一杯分くらいのヤブカンゾウを適当に食べやすい大きさにカット。バターを15gほどフライパンで熱したらヤブカンゾウを投入します。蓋をして蒸し焼きにするとしんなりしてくるので、最後に醤油を投入して終了です。
図5.ヤブカンゾウのバター醤油炒め
ぬたを作りたい人へ
ぬたを作る場合は茹でて水気を絞ったヤブカンゾウに
味噌:酢:砂糖を2:1:1で作ったタレを和えてください。
個人的オススメ度
割と数多くの野食をしてきたので、個人的経験から勝手に評価します!気が向いたら過去の野食も評価するかも。
同定のしやすさ ★★★☆☆
採取のしやすさ ★★★★★
旬の長さ ★★☆☆☆
クセのなさ ★★★★★
美味しさ ★★★★☆
採取面
一見すると普通の草なので、見逃しがちだが、慣れてくると簡単に見分けられる。群生するので、花を確認して翌年にチャレンジするのが良いか?
旬が短い点は要注意。
調理の手間面
調理の手間は非常に手がかからず優秀。よく泥やゴミを洗うだけで良い。低い位置の地表部を食すので、犬の散歩コースなどは避けたほうが無難。
食味面
食味はクセがなく、食感を楽しめる。万人向けの味と言えるだろう。悪く言ってしまうと味にクセがない分、パンチもないのでほぼ調味料の味になる。
その他
どうやら体質的に合わない人がいるらしい。野草というか植物全般は毒があるのが普通なので、基本的には大量に食べるものではない。常用的に食する、現代科学の技術の粋である「野菜」という食料品のメリットに思いを馳せつつ野食をするのがリベラルアーツ的で良いと思う。
過去の野食リンク
✅植物編
・ノビル(3~5月)
・銀杏(9~11月)
・スベリヒユ(7~9月)
・むかご(表)(10~11月)
・むかご(裏)(食わないほうがいい)
・菜の花(3~4月)
✅キノコ編
・毒キノコ(食べてはならない)
✅虫編