• 投稿日:2025/03/28
  • 更新日:2025/09/29
【拾い食い日記】フキノトウ 編

【拾い食い日記】フキノトウ 編

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BAL@虫料理研究家

BAL@虫料理研究家

この記事は約6分で読めます
要約
無職だけど美味しいものは食べたい。 そうだ!その辺で捕ってくればタダじゃない! というわけで初心者でも簡単に拾い食いできる 食物たちを紹介していきます。 今回は「フキノトウ」編です。

はじめに

野食とは?

野外で食料を調達して食べることを「野食(やしょく)」と言います。

野食は

・食に対する理解が深まる

・サイエンスに対する理解が深まる

・地球と自分の繋がりを直に感じられる

・最終的に生きている実感を得られる(食育)

まさしくリベラルアーツ(教養的)な学問です。
趣味として非常にオススメ出来ます。

STEP1 フキノトウについて調査せよ

今回の主役

今回は野草です。虫より難易度が高いですね。
「フキノトウ」と言っていますが、フキという植物の若芽のことです。東北の方では「ばっけ」という方言で呼ばれることもあります。割とクセの強い山菜として有名なので知っている人も多いでしょう。


フキノトウ採取における注意点

野食系では毎度言ってますが採集地の注意点として

私有地に無断で入らない

は絶対に守ってください。

今回は(も)河原で採ってきました。

採取時に似た植物

これも野食系では毎度言ってますが

✅よくわからないものは食べない(ちゃんと同定する
✅自己責任で食べる

は必ず守ってください。

似ている主な有毒植物は下記の通り

どちらも顔を出したばかりの若芽は似ていますが、花開く前の段階まで育つと容易に見分けがつきます。不安な人は採取を諦めるか、少し待って確実な状態で食べましょう。

ハシリドコロ 

若芽がやや似てる。フキノトウは白い綿毛が密生しているが、ハシリドコロには毛がない。
参考HP|厚生労働省

フクジュソウ

こちらもハシリドコロと同様に若芽がやや似てる。見分け方もハシリドコロと同様でフキノトウは白い綿毛が密生しているが、フクジュソウには毛がない。

参考HP|農林水産省

食べ過ぎ注意!!

フキは毒を含む植物で特に地下茎には強めの毒があります。また、フキノトウの苦み成分も毒です。大量に摂取するのは避けましょう。ちなみに発がん性もあると報告されてます。

とはいえ、大量に食べられるような食材でもないので、あまり気にしなくて良いと思います。大体が量の問題です。どうしても気になる人は食べるのを避けましょう。

参考HP|農林水産省


STEP2 フキノトウを採取せよ

採取時期

2月~3月ごろです。雪解けの風物詩でもあるので、寒さが過ぎ去って、春を迎えたらというイメージですね。寒冷地ほど若芽が出るのが遅くなります。今回は私は東海地方で3月下旬に採取しましたが、結構ギリギリな感じでした。というか形態的にはフキノトウと呼べない状態カモ・・・。来年はもっと早めに収穫に行きたいところ


DSC_3124.JPG図1. フキノトウが河原に生えている様子(蕾が開きかけている)

採取地

河原や土手、空き地などに生えています。日当たりがそこそこ良くて、やや湿り気があって、斜面なんかがねらい目です。私は例によって例のごとく近所の河原で採取しました(コイツいつも近所の河原で採取してんな)。見た目はかなり特徴的なので、目立つと思います。

採取法

素手で採れます。カッターやハサミがあったほうがいいかもしれません。
採りすぎないように注意しましょう。

採取した後用に、袋か籠でも持って行きましょう。

DSC_3122.JPG図2.大きめのフキノトウ(フキノトウと言えるかは各々に委ねます)

STEP3 フキノトウを下処理せよ

下処理

フキノトウはアクが強く、アク抜きが必須です。とはいえ、塩ゆでするだけなので、そんなに面倒ではないです。保存する場合は下処理後に冷凍保存すると1か月ほど持ちます

CENTER_0001_BURST20250327114352232_COVER.JPG図3.下処理前。だいぶ薹(とう)が立っている。フキノトウだけに

1.たっぷりのお湯に塩を一つまみほど入れて蓋をした後に2~3分茹でる
2.茹で終わったら、冷水に晒す
3.冷水で良く洗う

DSC_3127.JPG図4.茹で始めのフキノトウ

DSC_3130.JPG図5.3分ほど茹でた後。ゆで汁が変色しているのがわかる

アクの成分は水に溶けだすので、茹でたらしっかりと水に晒しましょう。


FINALSTEP フキノトウを実食せよ

フキノトウの代表的な調理方法は

✅天ぷら
✅フキ味噌

あたりです。
クセがかなり強いので、しっかりと調理するものが多いですね。

今回はフキ味噌を作成しました。

材料

フキノトウ・・・8個くらい
ゴマ油・・・大さじ1(サラダ油でも可)
味噌・・・大さじ1
みりん・・・大さじ1
砂糖・・・6g(スティックシュガー2本)

工程

1.下処理したフキノトウを細かく刻む
2.油を敷いたフライパンで炒める
3.油がなじんだら、調味料を投入
4.水分が飛ぶまで火を入れる

普通の味噌を持っていなかったのでみそ汁用の出汁入り味噌を使いましたが、全く問題なかったです。一人暮らしの人なら、出汁入り味噌持ちの方が多いと思いますので、代用してください。

DSC_3131.JPG図6.フキ味噌 ご飯に乗せて
 (合理性を追求しているので、茶碗ではなくタッパーである)



個人的オススメ度

同定のしやすさ ★★★☆☆
採取のしやすさ ★★★☆☆
旬の長さ    ★☆☆☆☆
調理の手間   ★★★☆☆
クセのなさ   ★☆☆☆☆
美味しさ    ★★★★☆

採取面

群生地を見つければ採取はかなり簡単な部類。絶妙な日当たり、湿り気、斜面などの条件的に局所的に生えてる印象なので、採集ポイントの選定が課題かも。また、有名どころの山菜なので同業者(野食する同士)と競合する可能性はある。

調理の手間面

下茹でが必要だが、それほど手間ではない。天ぷらを作る場合は油の処理が面倒になるが、それは天ぷらの手間なのでカウントしない。なお、私は天ぷらを作る際にはおそらく揚げないてんぷら粉のような商品を購入して作ると思う。来年はチャレンジするかもしれない。

食味面

食味はクセがの塊である。独特のほろ苦さがあるので好き嫌いは分かれるだろう。酒のつまみが好きな人には受けがいいと思う。ご飯のお供なら、今回くらい成長したもののほうがよいが、酒のつまみなら、もっと若いほうがいいだろう。

その他

今回食べた状態のフキノトウはフキノトウというには薹(とう)が立っていた。つまり育ち過ぎていた。しかし、調べてみると、どうやら育った状態のほうが、苦みが抜けて食べやすくなるようだ。実際にフキ味噌にして食べたところかなり美味しくいただけたので、個人的にはこのくらいのほうが好みかもしれない。是非皆さんも季節ごとに食べ比べてみて自分の好みを探求して欲しいところ。

春のBBQなどに際して、少し薹(とう)の立ったフキ味噌を作り焼きおにぎりにつけて食べたら最高に美味しいと思う。問題は私にはBBQをする友達などいないことである。



過去の野食リンク

✅植物編

ノビル(3~5月)
銀杏(9~11月)
スベリヒユ(7~9月)
むかご(表)(10~11月)
むかご(裏)(食わないほうがいい)
菜の花(3~4月)
ヤブカンゾウ(3~4月)


✅キノコ編

毒キノコ(食べてはならない)


✅虫編

杏仁豆腐(3月)
セミFIRE(7~8月)

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