- 投稿日:2025/05/04
- 更新日:2025/09/29

はじめに
野食とは?
野外で食料を調達して食べることを「野食(やしょく)」と言います。
野食は
・食に対する理解が深まる
・サイエンスに対する理解が深まる
・地球と自分の繋がりを直に感じられる
・最終的に生きている実感を得られる(食育)
まさしくリベラルアーツ(教養的)な学問です。
趣味として非常にオススメ出来ます。
STEP1 ワラビについて調査せよ
今回の主役
今回は野草です。虫より難易度が高いですね。
ワラビはシダ植物の一種で、山菜として有名なので、食べたことがある人も多いと思います。
ワラビは食べごろよりも成長した状態の方が、見つけやすいので、前年の5~6月くらいに生育地を調査して、翌年の4~5月くらいに採取しに行ってもいいかもしれません。
ワラビ採取における注意点
野食系では毎度言ってますが採集地の注意点として
✅私有地に無断で入らない
は絶対に守ってください。
今回は(も)近所の河原で採ってきました。
近所の河原には何でもあります。
みなさんも行きつけの近所の河原をサーチしましょう。
採取時に似た植物
これも野食系では毎度言ってますが
✅よくわからないものは食べない(ちゃんと同定する)
✅自己責任で食べる
は必ず守ってください。
ワラビは似ている有毒植物は聞いたことがないです。知っている人がいたら教えてください。
シダ植物の若芽なら、大体いけると思います有名どころでは「コゴミ」や「ゼンマイ」です。どちらも食用なので、問題ありません。
私は未食ですが、沖縄には「ヘゴ」という巨大なシダ植物があり、先端の巻いてる部分が手のひらサイズ位あるのですが、友人(※1)はみそ汁に入れたら美味かったと言ってました。
※1 有毒植物すら食べる人間なので、あまり信用はしていないが。
食べ過ぎ注意!!
特にアク抜き前では発がん性があることが知られています。苦みが強いなぁと思ったら、アクが抜け切れていないので、あまり大量に食べないほうがいいかもしれません。
とはいえ、山菜なんて基本的にはそんなものです。大体が量の問題です。極論すると発がん性の疑われない食品など存在しませんが、どうしても気になる人は食べるのを避けましょう。
STEP2 ワラビを採取せよ
採取時期
4月~6月ごろです。4月下旬くらいからいっぱい採れるイメージなので、ゴールデンウィークのあまり暑くなり過ぎない日などに家族で採取しても楽しいかもしれませんね。結構成長にバラツキがあるイメージなので、割と長い間採れると思います。
採取地
河原や土手、空き地などに生えています。日当たりがそこそこ良くて、やや湿り気があって、斜面なんかがねらい目です。割と開けているけど、近くには樹木もあって、日陰と日向のスポットが分かれているような感じのところです。うまく、言語化できないけど、慣れるとなんとなくわかるようになります。爬虫類や虫を捕ったことがある人なら、ササキリやヒシバッタ、ニホンカナヘビがいそうなところ、と言えば伝わるかもしれません。私は例によって例のごとく近所の河原で採取しました(コイツいつも近所の河原で採取してんな)。一番美味しい状態のやつは、地面の低い位置にあるので、あまり目立ちません。成長して葉っぱが開いている状態の個体の群生地を探しましょう。
図.1 ワラビのいるロケーション(いくつかあるので探して見よう)
図2.ワラビの成長した姿(食べられない、生息地を探す用)
図3.育ち過ぎたワラビも先端は食べられる
図4.一番美味しい状態
採取法
素手で採れます。適当な位置でポキッと折ってください。この時にワラビの汁がつくとアクで黒くなるので、気になる人は軍手か、ビニール手袋でもしていきましょう。
あとは採取した後用に、袋か籠でも持って行きましょう。
STEP3 ワラビを下処理せよ
下処理
ワラビはアクが強く、アク抜きが必須です。いくつか方法があるらしいですが、今回は重曹を用いた方法を紹介します。
1.ワラビをバットかボウルに入れる
2.ワラビ400gに対して重曹をおおさじ1程度加える(写真の量で200g強)
3.沸騰したお湯をワラビが浸かる程度に注ぐ
4.8時間ほど放置
5.ワラビを引き上げて、水に2時間ほどさらす
重曹は100均のお掃除コーナーで買えます。食品添加物と表示されていれば、工業用ではなく食用として使えますので、問題なく転用できます。
重曹を入れすぎると柔らかく、少なすぎると苦みが強くなりますので、慣れてきた自分でカスタマイズしてください。
図6.大体コレで200g
図7.百均で売ってる重曹
図8.アク抜き開始直後
図9.8時間ほどアク抜きしたワラビ
図10.アク抜きした後の水 濃い緑色をしている
保存方法
保存する場合はタッパーに水を張って、アク抜き後のワラビを入れて冷蔵庫へ。毎日水を替えながら、1週間程度は持ちます。
FINALSTEP ワラビを実食せよ
ワラビの代表的な調理方法は
✅おひたし
✅炊き込みご飯
✅油いため
✅みそ汁
あたりです。下処理してしまえば、そのまま食べられます。タケノコや油揚げなんかと合わせると、美味しいです。
今回はゴマ油で炒めて鰹節を加えました。今回は手持ちがありませんでしたが、シラスや乾燥小エビなんかと合わせても美味しいでしょう。
材料
ワラビ・・・200g
鰹節・・・4g(小分けパック2袋)
ゴマ油・・・大さじ1(サラダ油でも可)
丸鶏がらスープ・・・小さじ1と1/2(約12振り)
醤油・・・小さじ1
工程
1.下処理したワラビを5cm程度に切る
2.油を敷いたフライパンで炒める
3.油がなじんだら、調味料を投入
図11.ワラビの炒め物
ウマいが油揚げくらいは入れればよかったかもしれない
個人的オススメ度
同定のしやすさ ★★★★☆
採取のしやすさ ★★★★☆
旬の長さ ★★★★☆
調理の手間 ★★☆☆☆
クセのなさ ★★★☆☆
美味しさ ★★★★☆
採取面
群生地を見つければ採取はかなり簡単な部類。絶妙な日当たり、湿り気、斜面などの条件的に局所的に生えてる印象なので、採集ポイントの選定が課題かも。また、有名どころの山菜なので同業者(野食する同士)と競合する可能性はある。
調理の手間面
アク抜きが時間がかかるのでやや大変。とはいえ、細かい作業がなくいっぺんに完了するので、大量に採取しても処理は楽な部類ではある。
食味面
食味自体は独特だが、割と万人受けする味だとは思う。食べたことある人も多いと思うし、苦手な人は少ないだろう。食感はポキポキとしつつも若干のぬめりがあるので、ぬめりが苦手な人は難しいかもしれない。
その他
採取地の選定が一番難しいかもしれない。適度に開けた空間でありながら、他の樹木や草と競合している。そんな、ややうっそうとしている場所に生えてる感じ。空き地に多いイメージだが、他人の敷地の可能性がある。公園は開けすぎているのであまり見ない。
過去の野食リンク
✅植物編
・ノビル(3~5月)
・銀杏(9~11月)
・スベリヒユ(7~9月)
・むかご(表)(10~11月)
・むかご(裏)(食わないほうがいい)
・菜の花(3~4月)
・ヤブカンゾウ(3~4月)
✅キノコ編
・毒キノコ(食べてはならない)
✅虫編
✅魚介類編